「GIGAスクール構想」は2019年に開始され、「1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」の一体的な整備を行う文部科学省主導の取り組みです。
2030年までの長期的なロードマップに基づき、教育のデジタル化を段階的に推進しています。
本記事では、GIGAスクール構想の各段階における目標と、現在の教育現場における進捗状況について解説します。
GIGAスクール構想のロードマップについて
GIGAスクール構想は、短期・中期・長期の3段階のフェーズで目標が設定されています。
当初の計画から一部前倒しや修正が行われており、各フェーズにおける具体的な目標の達成に向けて施策が展開されています。
それでは、各フェーズにおける具体的な目標と、その進捗状況を見ていきましょう。
短期目標(2022年度まで)
GIGAスクール構想の短期目標では、1人1台端末の配備やネットワーク環境の整備など、デジタル教育に必要な土台づくりが中心に進められてきました。
まず、指導者・学習者用の端末整備については、当初2023年度としていた目標を前倒しし、公立小中学校等における児童生徒1人1台端末の整備を推進。2021年7月末時点での端末整備率は、公立小学校で99.0%、公立中学校で98.9%に達しています。
これに加え、短期目標として校務支援システムの導入による教育現場の手続きのICT化や、高速大容量の通信ネットワーク整備などインフラ面での環境整備を進めました。
また、校務情報等の教育データの標準化を推進するとともに、ICT支援員の配置や教員研修の充実による人材育成にも取り組みました。
出典:文部科学省「端末利活用状況等の実態調査(令和3年7月末時点) (確定値)」
中期目標(2025年まで)
中期目標では、短期で整備された環境を活用しながら、教育データの利活用体制の構築が進められています。
主な焦点は、学習者の日常的な端末利用から得られる学習ログの収集と、データの標準化による学校・自治体間でのデータ連携の実現です。
さらに、学校・家庭・民間教育間での学習状況を踏まえた支援の一部実現に向けた取り組みも展開中です。
2023年度補正予算では端末更新に向けた予算の7割を計上し、児童生徒が継続して端末を活用できる環境づくりを進めています。
長期目標(2030年まで)
長期目標では、児童生徒一人ひとりの学びの質を高めるための環境整備を掲げています。
最も重要な取り組みとして、PDS(Personal Data Store)の整備があり、これにより児童生徒の学習記録を生涯にわたって蓄積・活用できる仕組みを構築します。
また、学習内容や活動に関する情報をより細かく分類・標準化し、データに基づいた教育支援の充実を図る計画です。
具体的には、支援が必要な場面で児童生徒に適切な学習支援を提供することで、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の両立へとつなげていきます。
これにより、一人ひとりの学習進度や理解度に応じた指導と、児童生徒同士の学び合いを効果的に組み合わせた教育の実現が期待されています。
その他の取り組み
- 環境整備と支援体制の強化
- 校務DXの推進
- 自治体間格差の是正
- 高等学校のDX推進
- ICT機器の整備
- カリキュラム強化
GIGAスクール構想の実現に向けて、さらなる環境整備と支援体制の強化が進められています。
第2期GIGAスクール構想では、ネットワーク環境の改善に向けたアセスメント事業が実施されており、各学校のネットワーク状況の把握と改善が行われています。
次世代の校務DX環境整備支援も重要な取り組みの一つです。教職員の業務効率化とデータ活用の促進を目的とした校務のデジタル化が進められています。
また、GIGAスクール運営支援センターの整備により、自治体間での整備状況や活用状況の格差を是正する取り組みも行われています。
高等学校においては、DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)を通じて、Society5.0時代に対応した教育環境の整備と、先進的な学習活動の推進が図られています。
具体的には、情報・数学等の教育を重視するカリキュラムの実施と、ICTを活用した文理横断的・探究的な学びの強化を目指しています。
また、ハイスペックPCや3Dプリンタ、動画・画像生成ソフトなどのICT機器整備、遠隔授業用通信機器整備、理数系機器整備なども支援対象となっています
教育現場のGIGAスクール構想進捗の実態
GIGAスクール構想の進捗状況は、主に「端末の整備」「通信ネットワークの整備」「端末の活用」の3つの観点から把握することができます。これらの実態について、文部科学省の調査結果から見ていきましょう。
端末の整備状況
公立の小中学校等における学習者用端末の整備は、2023年3月末時点で義務教育段階の児童生徒の99.9%に整備されています。これは、GIGAスクール構想が掲げた「1人1台端末」の目標がほぼ達成されたことを示しています。
各自治体では、児童生徒の発達段階に応じて、タブレット型やノート型など、さまざまな種類の端末が採用されており、学習活動の特性に合わせた活用が可能です。今後は、整備された端末の更新計画や、持続可能な運用体制の構築が新たな課題となっています。
出典:文部科学省「義務教育段階における1人1台端末の 整備状況 (令和4年度末時点)」
通信ネットワークの整備状況
通信ネットワーク環境については、2023年3月時点での普通教室の無線LAN整備率が96.2%となっています。
また、移動通信システム(LTE等)に よりインターネット接続を行う普通教室の割合は、98.3%に達しています。
これは、2019年度の無線LAN整備率が78.9%であったことと比較すると、この4年間でネットワーク環境が大きく改善されていることが分かります。
また、インターネット接続については、通信速度1Gbps以上の高速回線の整備率が81.0%まで向上しており、2020年度の40.0%と比較すると、約2倍に増加しています。
この高速通信環境の整備により、動画視聴やオンライン会議システムの活用、大容量データの送受信など、より高度なICT活用が可能となっています。
出典:文部科学省「令和5年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」
学校における端末の活用状況
学校での端末活用状況は着実に進展しています。令和6年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)によると、ICT機器を「ほぼ毎日」「週3回以上」活用する学校は、小学校で93%(前年比3ポイント増)、中学校で91%(前年比4ポイント増)という結果でした。
特に、課題解決に取り組む学習活動を行っている学校ほど、考えをまとめ、発表・表現する場面でICTを活用する傾向が見られます。これらの学校のグループの児童生徒は、そうでないグループと比べて各教科の正答率も高い傾向にあります。
さらに、約9割の児童生徒が、ICT機器活用の効果として「分かりやすい」「考えやすい」「調べやすい」と感じているようです。学習内容の理解や思考の深まりに、ICT活用が効果を上げていることが示されています。
出典:文部科学省「令和6年度全国学力・学習状況調査の結果(概要)」
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