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NEXT GIGAとは?GIGAスクール構想第2フェーズがもたらす教育ICTの未来を解説

NEXT GIGA

「Next GIGA」とは、文部科学省が推進するGIGAスクール構想の第2期(セカンドフェーズ)に当たるプロジェクト名で、学校のICT環境の更新と進化を図る取り組みを指します​。

第1フェーズが端末配備とネットワーク整備に主眼を置いていたのに対し、第2フェーズであるNext GIGAでは、老朽化する端末やインフラの更新、校内外の通信ネットワークのさらなる強化、そしてICTを活用した授業の質向上や地域間格差の是正に重点が置かれています​。

例えば、Next GIGAではデジタル教科書の普及やコンピュータを活用した学力テスト(CBT)の本格的な導入も視野に入れられており、それらを支える校内ネットワークの高速・安定化が重要な課題となっています。

本記事では、「Next GIGA」によって教育の未来がどのように変わるのか、先生・生徒・保護者それぞれの視点から現場への影響を考察します。

目次

教育の未来を支える「Next GIGA」

「Next GIGA」は、端末・ネットワーク環境の整備だけにとどまらず、教育全体を一段階高いレベルへと引き上げることを目的としています。

既に1人1台の学習者用端末が配備された学校では、児童生徒がオンラインで調べ物を行ったり、デジタル教材を活用したりするなど、当たり前のようにICTを使う光景が生まれています。

しかし、「Next GIGA」ではそれに加えて、学習データの蓄積と分析、そして指導の高度化や個別最適化された学びの実現が大きなテーマとして据えられています。

特に近年注目を集めているのが、AIやビッグデータを活用した学習分析です。

個々の児童生徒がどのような場面でつまづきやすいのか、どのタイミングでフォローを入れると理解度が高まるのかなどの情報を可視化し、それをもとにきめ細かい指導を行うことが可能になってきました。「Next GIGA」では、こうした先端技術の活用を推進し、学習者一人ひとりに最適な学びの提供を目指します。

次世代の学習環境とデジタル教科書の普及

GIGAスクール構想の第1フェーズでも一部取り入れられていたデジタル教科書は、今後さらに普及が加速すると期待されています。

デジタル教科書の利点は、文字や画像、動画、音声など多様なメディアを1つの画面内で扱える点に加え、学習者の理解度に合わせて注釈やヒントを適宜表示できることです。

紙の教科書にはないインタラクティブな要素が学習効果の向上を後押しするとされています。

また、デジタル教科書と連動したアプリケーションやオンラインプラットフォームの整備が進めば、学習履歴や回答データがリアルタイムで記録され、教員や保護者が学習の進捗を共有できる仕組みが強化されるでしょう。

これにより、「今日はどの単元をどれだけ学習したか」「どの部分で躓いているか」など、従来は見えにくかったデータを簡単に把握できるようになります。

こうした動きは、子どもたちが自分の学習状況を客観的に理解し、自ら学びを調整できる自己調整学習やメタ認知力の向上につながると期待されています。

クラウド型教育プラットフォームの進化

現在、多くの自治体や学校がクラウドベースの学習支援システムや校務支援システムを導入しています。

クラウド型のプラットフォームを活用することで、校内ネットワークの負荷を軽減しつつ、セキュリティやバックアップの手間を最小限に抑えられるメリットがあります。

また、児童生徒が学校内だけでなく、自宅や地域の施設などインターネット環境がある場所であればどこからでも学習を継続できる点も自由度が高くなります。

「Next GIGA」では、これらクラウド型プラットフォームの連携をさらに強化し、学習データを横断的に活用できる仕組みづくりを推進しています。

具体的には、学習者情報の管理や各教科・科目ごとの学習履歴を一元管理する「ポータルサイト」的な機能が拡充される見通しです。

こうした環境が整備されれば、教員は個別指導が必要な児童生徒をより迅速に把握し、適切な学習支援を提供できるようになります。

「Next GIGA」で教育現場はどう変わる?先生・生徒・保護者の視点で解説

指導方法の変革と業務効率化

これまでの教育現場では、授業中のアクティビティは紙のプリントや板書が中心で、児童生徒が集団で一斉に学習するスタイルが一般的でした。

しかし、GIGAスクール構想が進展し、多様なICT機器やデジタル教材が利用できるようになったことで、先生方の指導方法にも変革がもたらされつつあります。

「Next GIGA」では、こうした変化をさらに加速させると考えられます。

具体的には、授業の準備段階でデジタル教材やオンラインテストをあらかじめ作成し、クラウド経由で配布するといった方法が普及すると見込まれます。

また、授業中にはリアルタイムで児童生徒が回答した内容が画面上で可視化されるため、理解度や到達度を確認しながら進める“アクティブ・ラーニング”の実践が容易になるでしょう。

加えて、授業で得られた学習データを分析するシステムが導入されれば、児童生徒個々の躓きポイントを正確に把握できるため、先生がきめ細かな指導を行ううえでの大きな支援となります。

一方で、学校や教員の間では、「ICT機器の操作や教材作成に関する知識が不足している」「デジタル化に慣れていない」といった声も上がっています。

こうした声に応えるため、教育委員会や自治体などの行政機関が中心となって教員研修やICTリテラシー講習を実施し、指導方法の変革をサポートすることが求められています。

学び方の変化とデジタルリテラシーの向上

児童生徒にとっては、デジタル端末を通して自発的に調べ学習や演習を行える機会が増えることで、これまで以上に主体的で深い学びが可能になります。

さらに、オンラインでの共同作業や遠隔地との交流学習など、多様な学習形態を経験することで、学習内容の定着度や社会的スキルの育成につなげることができるでしょう。

また、これからの時代を生きるうえで欠かせない「デジタルリテラシー」や「情報モラル」を育むうえでも、「Next GIGA」がもたらす学習環境は大きな意義を持ちます。

単にインターネットを利用するだけでなく、目的に応じて適切な情報源を選び、情報を整理・発信する能力を学校教育の中で体系的に学ぶことで、生徒はデジタル社会に対応できる基礎力を身につけることが期待されます。

Next GIGA」の課題と解決策を解説!

ICTインフラの更新と維持管理の課題

GIGAスクール構想によって全国の学校に配備された端末や通信インフラは、導入から数年が経過しており、今後は一斉に更新時期を迎えます。

特に児童生徒用の学習者端末は、毎日の使用による劣化が進みやすく、バッテリーの寿命やハードウェアの故障対応など、多角的な維持管理が必要になります。

学校現場からは「端末故障時の代替機が不足している」「修理や設定の時間やコストが大きい」といった声が上がっており、教育委員会や自治体は予算措置とサポート体制の充実を迫られているのが現状です。

また、ネットワーク機器やサーバなどのインフラ機器についても、定期的なアップグレードを計画的に進める必要があります。

十分な回線速度やセキュリティ対策が確保されていなければ、オンライン学習に支障をきたすだけでなく、サイバー攻撃や情報漏えいといったリスクも高まります。

「Next GIGA」では、こうした更新に関する費用負担や運用管理のノウハウを学校単位だけに押しつけず、国や自治体がより一体となって支援を行う仕組みづくりが求められています。

デジタルデバイドの克服

端末とネットワークが全国に整備されたとはいえ、地域や家庭の経済事情などにより、子どもが自宅で十分なネット接続を利用できないケースはまだ存在します。

ICT端末を家庭に持ち帰ることが定着しても、インターネット環境が整っていなければ、授業の延長となる学習活動が制限されてしまいます。

さらに、保護者のデジタルリテラシーやICT機器への理解度が低い家庭では、子どもが自宅学習の際に適切なフォローを受けにくいという問題も生じます。

こうしたデジタルデバイドの解消に向けて、モバイルルーターの貸し出しや家庭向けの通信費補助などを検討する自治体も増えています。

また、地域の公民館や図書館などの公共施設で学習端末を利用できる取り組みが行われることも期待されます。

家庭環境の違いによって児童生徒の学習機会に大きな格差が生まれないよう、学校や地域コミュニティが連携してサポートする必要があります。

教師のICTスキルと研修制度

ICTを活用した教育は、教員の指導力や技術的なスキルに大きく依存します。

GIGAスクール構想の当初は「とにかく端末や通信インフラを整備する」ことに注力されていたため、教員が実際に端末を使いこなすための研修時間や予算が十分に確保されないケースも見受けられました。

しかしNext GIGAでは、教員のICT活用指導力が教育の質に直結すると見られています。

現場の課題としては「どのようにデジタル教材を選定し、効果的な授業を設計すべきか」「どのように学習データを活用し、生徒の理解度を高める個別指導を実践するか」といった指導法面の知識やノウハウ不足があります。

これらを解決するため、文部科学省や教育委員会が主体となり、オンライン研修や先進的な事例共有の場を増やすことが不可欠です。

また、ICT支援員の配置や校内研修の充実によって、教員同士が日常的にスキルアップを図れる体制を確立することが急務です。

データ活用とプライバシー保護のバランス

Next GIGAでは学習履歴やオンライン上での活動データを収集・分析して、授業の改善や個別最適化された学習支援を行うことが期待されています。

一方で、学習データの取り扱いに関しては、個人情報やプライバシー保護の観点から注意が必要です。欧州連合(EU)のGDPR(一般データ保護規則)のように、データ保護を厳しく定める例もある中、日本においても教育分野で扱う児童生徒の学習データをどのように管理し、必要最低限の範囲で活用すべきかは、今後さらに議論されるべき課題といえます。

学校や自治体は、セキュリティ対策を講じながら教育データを活用できる仕組みを整備しなければなりません。

また、保護者へは「いつ」「どのような目的」でデータが収集・分析されるのかをわかりやすく伝え、必要に応じて同意を得るプロセスを作ることが重要となります。

こうした透明性が確保されなければ、ICTの利便性よりも個人情報流出のリスクばかりに注目が集まり、保護者の理解や協力を得られなくなる恐れもあります。

「Next GIGA」で変わる教育のICT化

高度化するオンライン学習環境

これまでは動画授業やオンラインテストといった機能が中心でしたが、今後はAIによる自動採点やレコメンド機能、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を使った没入型学習など、先端技術を活用した新たな教育手法が次々と登場すると考えられます。

特にコロナ禍で急速に広まったオンライン授業の経験は、対面授業とのハイブリッドな学習環境を生み出す土台となっています。

たとえば長期欠席者や遠隔地の学校との共同授業など、場所や状況に制限されずに学習を進められる体制が今後一層整備されるでしょう。

また、「学習者主体の探究活動」を推進する観点でも、オンライン上で国内外の専門家や学生と交流し、社会課題を協働で解決するプロジェクト型学習が可能になります。

このような新しい学びの形を実現するためには、「Next GIGA」で提示される高速で安定したネットワーク環境が必要不可欠です。

プログラミング教育やSTEAM教育との連携

GIGAスクール構想の導入と同時期に、日本の小中学校ではプログラミング教育が必修化されました。

今後は更なる深化が見込まれ、単なるプログラミング言語の習得だけでなく、問題解決能力や創造性を育むSTEAM教育(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)へと広がりを見せています。

「Next GIGA」によってICT環境が充実すれば、子どもたちがより高度なプログラミングやロボット工学、3Dデザインなどに取り組む機会が増え、探究活動の幅が広がることが期待されます。

また、芸術教育(Arts)の領域でもデジタルツールを活用した制作やデザイン表現が盛んになることで、表現の多様性やコラボレーションの可能性が拡大するでしょう。

まとめ

Next GIGAは、GIGAスクール構想を深化させ、インフラ更新やデジタル教科書の普及、個別最適化学習の推進などを促進する取り組みです。

先生・生徒・保護者が連携し、ICTを効果的に活用することで、学びの質や学習機会の均等化がさらに進むでしょう。

一方で、デジタルデバイドや保護者のリテラシー格差、端末更新費用などの課題も残されています。

これらを乗り越えるには、国や自治体の継続的な支援はもちろん、教育現場の自主的な努力と地域コミュニティの協力が欠かせません。

今後は教育の高度化と共に、新たな学びの機会と可能性が広がることが期待されます。

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