MENU
TANAKA DENKI for GIGA School
お問い合わせ・お見積もり
オンライン商談

ICT機器とは?教育現場での活用法と導入効果

ICT機器

デジタル化が急速に進む教育現場。「ICT機器って何?」「どう活用すれば良いの?」と悩む先生方も多いのではないでしょうか。

GIGAスクール構想により1人1台端末が普及し、授業の形も大きく変わりつつあります。

本記事では、教育のICT化の現状から具体的な活用法、導入するメリットまで徹底解説。

未来の教室を創るためのヒントが満載です。ICTに詳しくない先生でも分かりやすく、明日から使える情報をお届けします。ぜひ最後までご覧ください。

目次

ICT機器の基本知識

まずはICT機器の基本的な知識から解説していきましょう。ICTとは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、情報の収集・処理・発信などの技術を指します。

従来のIT(Information Technology)に「Communication(コミュニケーション)」が加わったもので、単なる情報処理だけでなく、人と人、人とモノをつなぐ技術という意味が含まれているんです。

教育現場では、タブレットやパソコンといった端末はもちろん、電子黒板やプロジェクター、顕微鏡カメラなど様々なICT機器が活用されています。

これらを上手に使うことで、児童・生徒の学習意欲を高め、理解を深めることができるのです。

ICTとは

以前はパソコンでデータ処理をするだけ(IT)でしたが、現在はインターネットを通じて情報共有やコミュニケーションが行われます(ICT)。

教室で言えば、単にプロジェクターで資料を映すだけでなく、タブレットを使って生徒同士が意見交換したり、遠隔地の学校と交流授業をしたりするのがICTの活用例といえるでしょう。

文部科学省でも、教育の情報化を推進する際に「ICT」という言葉を使用しています。

これは単なる情報機器の導入ではなく、コミュニケーションを重視した学びの実現を目指しているからです。ICTという概念を理解することで、機器の選定や活用法も変わってきますよ。

ICT機器の種類

  • タブレット端末
  • 電子黒板
  • 実物投影機(書画カメラ)
  • 顕微鏡カメラ

教育現場で活躍するICT機器は実に様々です。それぞれの特徴と活用場面を押さえておきましょう。

まず「タブレット端末」。GIGAスクール構想で1人1台配備された学校も多いはず。

軽量で持ち運びやすく、直感的な操作が可能なため、低学年の児童でも扱いやすい特徴があります。調べ学習やドリル学習、写真・動画撮影など多目的に使えるのが魅力ですね。

次に「電子黒板」。従来の黒板と違い、デジタル教材の表示や書き込み、保存が可能です。

画面を拡大して細部を見せたり、動画を再生したりと、視覚的な理解を促進します。全員で同じ画面を見ながら授業を進められるため、クラスの一体感も生まれやすい!

「実物投影機(書画カメラ)」は、教科書やノート、立体物をリアルタイムで投影できる機器。子どもたちの作品をすぐに全体で共有でき、「発表したい!」という意欲も高まります。

そして「顕微鏡カメラ」。理科の授業では、微細な観察対象を大画面に映し出せるため、全員で同時に観察できる利点があります。昆虫の複眼やミクロの世界が教室いっぱいに広がれば、子どもたちの科学への興味も倍増です!

GIGAスクール構想と教育のICT化

日本の教育におけるICT化の大きな転換点となったのが「GIGAスクール構想」です。2019年に文部科学省が打ち出したこの政策により、全国の小中学校では児童生徒1人1台の端末環境と高速大容量の通信ネットワークの整備が一気に進みました。

コロナ禍でその重要性がさらに高まり、当初の計画より前倒しで実現。教室の風景は大きく変わりましたね。従来の「黒板とチョーク」中心の授業から、デジタル機器を活用した多様な学びのスタイルへと急速に移行しているのです。

しかし、ハード面の整備が進む一方で、それを効果的に活用するためのソフト面(教員のスキルや指導法)の課題も浮き彫りになっています。多くの先生方が「せっかくの機器をもっと授業に活かしたい」と感じているのではないでしょうか。

ICT機器は目的ではなく手段。子どもたちの学びをどう深めるかという視点で活用することが何より大切です。

GIGAスクール構想とは?1人1台端末の現状と課題

GIGAスクール構想は「Global and Innovation Gateway for All」の略称で、すべての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びを実現するための取り組みです。

2019年12月に閣議決定され、当初は2023年度までの計画でしたが、コロナ禍での遠隔教育の必要性から2020年度内の前倒し実施となりました。

その結果、全国の義務教育段階の学校で、児童生徒への1人1台端末と高速インターネット環境の整備が一気に進んだのです。Chromebook、iPad、Windowsタブレットなど、自治体によって導入された端末は様々。これにより「教科書と黒板」だけだった授業に、新たな学びのツールが加わりました。

しかし現場では、機器の使い方に不慣れな教員の存在や、活用のための準備時間の確保、通信環境の不安定さなどの課題も。また、家庭でのWi-Fi環境の有無による「デジタルデバイド(情報格差)」も懸念されています。せっかくの端末も、使い方次第では宝の持ち腐れに…。

一方で、個別学習の充実や不登校児童生徒の学習支援、特別支援教育における活用など、1人1台端末環境の可能性も広がっています。これからの教育現場では、機器の「所有」から「活用」へとステージが移行しているのです。

文部科学省が推進するICT教育の方針と目標

文部科学省は教育の情報化について、明確なビジョンと方針を打ち出しています。「教育の情報化ビジョン」では、ICTを活用した「21世紀を生きる力」の育成に重点を置いているんです。

具体的には、情報活用能力の育成、教科指導におけるICT活用、校務の情報化の3つの側面からICT教育を推進しています。

2025年に向けた数値目標も設定されていて、「授業中にICTを活用して指導する教員の割合を100%に」「児童生徒の情報活用能力を全国的に測定し向上させる」などが掲げられているんですよ。これらは「第3期教育振興基本計画」にも明記されています。

注目すべきは、単なる機器の導入ではなく「子どもたちの学びの質を高める」という目的が常に中心に据えられていること。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、ICTは強力なツールとして位置づけられています。

参考:文部科学省ICT環境整備方針

授業で活用できるICT機器とその効果

教室にICT機器が導入されても「どう使えばいいの?」と悩む先生方は多いはず。ここからは具体的な活用法と期待できる教育効果について見ていきましょう。

ICT機器を授業に取り入れる最大のメリットは、視覚的・聴覚的に情報を伝えられること。「百聞は一見にしかず」という言葉通り、抽象的な概念も映像や音声で示すことで理解が深まります。また、児童生徒の集中力アップにも効果的です。

もう一つの大きな利点は、双方向性のある授業が実現すること。従来の一方的な講義型授業から、生徒が積極的に参加する対話型の学びへと変化させることができるんです。

さらに、個々の理解度や進度に合わせた学習も可能に。一斉指導では難しかった個別最適化された学びを提供できます。

電子黒板とプロジェクターの効果的な使い方

  • 教科書や資料の拡大表示
  • デジタル教科書との連携
  • 書き込み機能の活用
  • インターネット接続

電子黒板とプロジェクターは、クラス全体で同じ情報を共有する際に強力なツールとなります。その効果的な活用法をいくつかご紹介しましょう。

まず基本的な使い方として、教科書や資料の拡大表示があります。小さな図版も大きく映し出せば、細部まで全員がしっかりと確認できますね。特に理科の観察図や社会科の地図、美術作品の細部などは、拡大表示の効果が絶大です!

次に、デジタル教科書との連携。紙の教科書にはない動画や音声、アニメーションなどを活用することで、抽象的な概念も視覚的に理解しやすくなります。例えば、植物の成長過程や歴史上の出来事を動画で見せれば、子どもたちの理解が格段に深まるでしょう。

さらに、書き込み機能の活用も効果的。重要ポイントにマーカーを引いたり、児童生徒の意見を直接書き込んだりすることで、思考の「見える化」ができます。そして、これらの画面は保存できるため、前回の授業の振り返りもスムーズに。

インターネットとの接続により、最新情報や教材をその場で提示することも可能です。ニュースサイトや教育用データベースを授業中に参照すれば、生きた情報による学習が実現します。

タブレット端末を活用した個別最適化学習の実践法

1人1台環境の真価を発揮するのがタブレット端末です。活用法を見ていきましょう。

  • ドリル学習アプリの活用
  • 協働学習ツールの活用
  • 調べ学習の活用

まず注目したいのが「ドリル学習アプリ」の活用です。算数・数学のドリルや漢字練習など、基礎的な学習をデジタル化すると、即時フィードバックが可能になります。間違えた問題を自動で復習できるシステムもあり、それぞれの弱点に合わせた学習が実現。「分かるまで」繰り返し学べる環境が、子どもたちの自信につながるんですね。

次に「協働学習ツール」の活用。個々のタブレットで考えをまとめ、クラウド上で共有することで、多様な意見に触れる機会が生まれます。従来のグループ学習では発言が苦手な児童生徒も、タブレットなら自分のペースで参加できる点が大きなメリットです。

また「調べ学習」の幅も広がります。図書室の本だけでなく、インターネット上の様々な情報源にアクセスできることで、探究の深さと広がりが格段に向上。情報の信頼性を判断する力も自然と身についていきます。

家庭学習との連続性も見逃せません。学校と同じ端末・アプリで家庭学習ができれば、シームレスな学びが実現します。不登校の子どもたちの学習支援にも効果的です。

教科別ICT機器活用事例

ICT機器は教科の特性に合わせて活用することで、より効果的な学びを実現できます。ここでは各教科での具体的な活用事例を紹介していきましょう。

「百聞は一見にしかず」とはまさにICT活用の真髄。教科書の説明だけでは伝わりにくい内容も、映像や音声、インタラクティブな教材を通じて、子どもたちの理解度が格段に向上します。また、抽象的な概念も視覚化することで、「わかった!」という瞬間を増やせるのがICT活用の醍醐味です。

さらに、個々の学習進度や理解度に合わせた学びが可能になるのも大きな特徴。一斉指導では難しかった個別最適化を実現できるんですね。

各教科での実践例は、明日からの授業ですぐに使えるアイデアの宝庫。「こんな使い方があったのか!」と新たな発見があるはずです。

国語:読解力・表現力を高めるICT活用法

まず「音読練習」の質が変わります。タブレットで自分の音読を録音し、聞き直すことで客観的に評価できるように。「もっとゆっくり読もう」「ここは強調して読もう」など、自己フィードバックの機会が生まれます。さらに教師が模範音読を録音しておけば、いつでも参考にできるため、家庭学習の質も向上するでしょう。

「作文指導」では共有機能が効果的です。タブレットで作成した作文を電子黒板に映し、良い表現や改善点をクラス全体で共有。従来のノートでは難しかった「推敲の過程」も記録できるため、文章を練り上げる力が自然と身につきます。

「読解力向上」には電子辞書機能が便利!知らない言葉にタッチするだけで意味を調べられるため、読解の流れを止めずに学習を進められます。また、デジタル教科書の朗読機能は、登場人物のセリフを声優が演じ分けるなど、物語の世界に引き込む工夫も。読書が苦手な子どもの入り口にもなっています。

文学作品の理解には「マインドマップアプリ」も効果的。登場人物の関係性や心情の変化を視覚的に整理することで、作品の全体像をつかみやすくなります。

算数・数学:思考力を育てるデジタル教材の活用

算数・数学の学習では、抽象的な概念を理解することが鍵となります。ICT機器を活用すれば、目に見えない数学的概念を視覚化し、思考力を育む授業が実現できます。

「図形学習」では、立体図形アプリが威力を発揮します。画面上で自由に回転させたり、展開図に変換したりすることで、頭の中だけでは想像しづらい立体の性質が直感的に理解できるようになります。「この立方体を真上から見るとどんな形?」といった空間認識力を鍛える問題も、アプリで確認しながら学べば理解が深まるでしょう。

「グラフ学習」ではシミュレーションアプリが便利です。関数の値を変えると即座にグラフが変化する様子を観察することで、「yがxの2倍になると、グラフはどう変わる?」といった疑問を実験的に解決できます。数式とグラフの関係性が視覚的に理解できるため、抽象的な概念も具体的なイメージと結びつきやすくなりますよ。

「問題解決学習」では、ドリルアプリが効果的。一人ひとりの理解度に合わせた問題が自動生成され、つまずいたポイントを重点的に練習できます。即時フィードバックにより「わからない」が長く続かない環境が、数学への苦手意識を減らす効果も!

さらに、プログラミング的思考を育む「プログラミング学習」との連携も可能です。

英語:発音練習

英語学習では「聞く・話す・読む・書く」の4技能をバランスよく育むことが重要です。ICT機器を活用することで、特に「聞く・話す」の実践機会を大幅に増やすことができます。

「発音練習」がより効果的になるのがICT活用の大きなメリットです。AIを活用した発音評価アプリを使えば、一人ひとりが何度でも発音練習できるうえ、即時フィードバックも受けられます。「Lの発音が不十分です」「アクセントの位置が違います」など具体的な指摘を受けることで、自分の課題を明確に把握できるのです。また、ネイティブスピーカーの発音を何度も聞き返せるため、正確な音の獲得にも役立ちます。

校務効率化を実現するICT機器

教育のICT化は児童生徒の学びを豊かにするだけでなく、教員の業務効率化にも大きく貢献します。

日本の教員は世界的に見ても長時間労働が課題となっていますが、ICT機器の適切な活用により、この状況を改善できる可能性があります。

教員の負担軽減につながるICTツール

教員の業務負担を軽減するICTツールは多岐にわたります。効果的に活用することで、本来の教育活動により多くの時間を割けるようになるでしょう。

「校務支援システム」は最も基本的なツールです。出席管理、成績処理、時間割作成、保健管理など様々な機能が一元化されているため、データの二重入力などの無駄な作業が削減されます。

例えば、授業での評価データを入力すれば、それが自動的に通知表や指導要録に反映される仕組みは、学期末の業務負担を大きく軽減してくれます。特に成績処理は従来、膨大な手作業を要していましたが、システム化により計算ミスも防げるのが心強いですね。

「授業支援アプリ」も便利なツールの一つ。デジタルドリルの採点が自動化されれば、従来ノートチェックに費やしていた時間を個別指導に充てられるようになります。また、児童生徒の取り組み状況や正答率が即時に把握できるため、つまずきに早期対応することも可能に。「あの子がここでつまずいている」という気づきを即座に得られるのは、教育の質向上にも直結します。

「教材共有プラットフォーム」の活用も負担軽減に効果的。校内だけでなく、全国の教員が作成した教材やワークシートをダウンロードして活用できるサービスも増えています。一からすべてを作る必要がなくなれば、その分の時間を教材研究や個別指導に充てられるでしょう。

成績管理・学習評価を効率化するシステム

成績管理と学習評価は教員にとって重要でありながら、多くの時間と労力を要する業務です。ICTシステムを活用すれば、この負担を大幅に軽減しながら、より精度の高い評価が可能になります。

「成績管理システム」の最大の特徴は、入力の一元化です。授業中の小テストや提出物の評価を入力すれば、それが自動的に蓄積され、通知表や指導要録に反映される仕組みになっています。これにより、学期末に大量のデータを一度に処理するという従来の負担が軽減されるのです。また、デジタル化されたデータは検索や並べ替えも容易なため、「算数の小数点計算の理解度が低い児童をピックアップする」といった複雑な分析も瞬時に実行できます。

児童生徒の理解度をリアルタイムで把握できる「形成的評価支援ツール」も注目されています。タブレット端末を使ったミニテストやアンケートを実施すれば、結果がグラフ化され、クラス全体の理解度が一目でわかります。

「この単元はクラスの70%が理解できていない」といった情報を即座に得られれば、その場で指導方針を修正することも可能に。子どもたちの学びをより確かなものにできるでしょう。

さらに、子どもたち自身による学習の振り返りや自己評価を支援する「ポートフォリオシステム」も有効です。学習の過程や成果物をデジタルで記録・蓄積することで、成長の軌跡が可視化されます。これにより、テストの点数だけでは測れない多面的な評価が実現します。

ICT機器導入のメリット

教育現場へのICT機器導入は、学びの質を高める可能性を秘めていますが、同時に様々な課題も存在します。メリットを最大化し、課題を乗り越えるためには、両面を正確に理解することが重要です。

教育現場でのICT活用による5つのメリット

ICT機器を教育現場に導入することで得られるメリットは多岐にわたります。主な5つのメリットを詳しく見ていきましょう。

第一に「学習内容の理解深化」が挙げられます。視覚的・聴覚的な情報提示により、抽象的な概念も具体的なイメージと結びつきやすくなります。例えば、理科の授業で植物の成長過程を動画で見せれば、教科書の説明だけでは伝わりにくい変化の過程が明確に理解できるでしょう。複雑な現象も映像やシミュレーションで示すことで、「なるほど!」という瞬間が増えます。

第二に「個別最適化された学びの実現」があります。一人ひとりの理解度や進度に合わせた学習が可能になるため、「わからないまま先に進む」「すでに理解しているのに同じ内容を繰り返す」といった非効率を減らせます。特に算数・数学などの積み上げ型の教科では、基礎的な部分のつまずきを早期に発見し、対応できる点が大きなメリットとなるでしょう。

第三に「協働学習の活性化」が生まれます。クラウド上でのファイル共有やオンラインディスカッションツールを活用することで、従来のグループ学習よりも多様な意見交換が可能に。発言が苦手な児童生徒も参加しやすくなり、多様な考えに触れる機会が増えます

第四に「学習意欲の向上」が期待できます。デジタル教材の多くはゲーミフィケーション要素を取り入れており、楽しみながら学べる工夫がされています。「もう一問解きたい」「次のレベルに進みたい」という内発的動機づけが生まれやすいのです。また、自分の成長が可視化されることで達成感も得られやすく、学習への前向きな姿勢が育まれます。特に学習に対して苦手意識を持つ子どもたちにとって、この点は大きな変化となるでしょう。

第五に「教員の業務効率化」というメリットもあります。成績処理や出席管理などの定型業務が自動化されれば、その分の時間を教材研究や個別指導など、より価値の高い業務に充てられるようになります。また、デジタル教材やワークシートの共有により、教材作成の負担も軽減。教員の働き方改革にもつながる重要なポイントです。

ICTきき導入・運用におけるデメリット

ICT機器の導入は多くのメリットをもたらす一方で、様々な課題も存在します。これらを理解し、適切に対応することが成功の鍵となります。

最も大きな課題の一つが「教員のICTスキル格差」です。ICT機器に慣れている教員とそうでない教員の間には大きな差があり、それが活用度の差につながっています。この解決には段階的な研修が有効でしょう。基礎的な操作法から始めて、授業での活用法、さらに応用的な使い方へと徐々にステップアップする研修体系が望ましいのです。また、校内で「ICT支援員」や「デジタル教科主任」を設けて、日常的なサポート体制を整えることも効果的です。

次に「ハードウェアの維持管理」の問題があります。導入時のコストだけでなく、故障や更新、消耗品の補充など継続的な費用が発生します。計画的な予算確保と、児童生徒への適切な使用方法の指導が不可欠。また、ICT支援員を外部委託するなど、専門的な管理体制を構築することも一つの方法です。

「情報セキュリティ」の確保も重要な課題。児童生徒の個人情報保護やネット利用のルール作りが必要です。セキュリティポリシーの策定と定期的な見直し、教職員・児童生徒への研修が欠かせません。フィルタリングソフトの導入なども有効ですが、同時に情報モラル教育を充実させることが根本的な対策となるでしょう。

教育現場でのICT機器導入成功事例

ICT機器の導入は、理論だけでなく実際の成功事例から学ぶことも重要です。全国各地の学校では、創意工夫を凝らしたICT活用が進んでおり、その成果が徐々に表れています。

先進的な取り組みを行っている学校では、単なる「道具」としてのICT機器ではなく、教育そのものを変革するきっかけとして活用しています。従来の一斉指導型の授業から、児童生徒が主体的に学ぶスタイルへの転換が進んでいるのです。

特に注目すべきは、ICT機器の活用が「特別なこと」から「日常的なこと」へと変化している点。特定の授業や場面だけでなく、日々の学習活動の中に自然と溶け込んでいる事例が増えています。

まとめ

教育現場におけるICT機器の活用は、学びの可能性を大きく広げるもの。GIGAスクール構想で整備された1人1台端末環境を活かし、子どもたちの未来を豊かにする教育を実現していくことが求められています。

本記事で紹介したように、タブレット端末や電子黒板などのICT機器は、教科の特性に合わせて活用することで高い教育効果が期待できます。国語、算数・数学、理科、社会、英語など、それぞれの教科で工夫された実践事例も数多く生まれています。

しかし忘れてはならないのは、ICT機器はあくまでも「道具」であるということ。使うこと自体が目的化してしまっては本末転倒です。「この授業で子どもたちにどんな力を身につけさせたいのか」という教育目標を明確にした上で、その実現のために最適なツールとしてICTを活用する視点が大切でしょう。

目次