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教員のICT業務改善アイデア20選 | 働き方改革を推進

教員業務が忙しい

教員の業務改善は待ったなしです。その強力な武器となるのが、ICT(情報通信技術)の活用でしょう。

ICTによる業務改善を成功させるには、「即効性のある個人技」と「組織的な仕組み化」の両輪を回すことが欠かせません。

GIGAスクール構想により教員一人ひとりに端末が配備され、ハード面の環境は整ってきました。ところが実際の活用が追いついていない現場が多いのが現実です。ショートカットキー一つで終わる作業に何分もかけていたり、今なお紙ベースでの煩雑な情報共有が続いていたりする学校も珍しくありません。

この記事では、明日から個人で実践できる即効性のあるテクニックから、学校全体で取り組むべき校務のデジタル化まで、具体的なアイデア20選をステップバイステップで解説します。きっとあなたの働き方改革を加速させるヒントが見つかるはずです。

目次

教員がICTで業務改善を成功させるための3つの鉄則

教員がICTを活用して本質的な業務改善を成功させるには、3つの鉄則があります。

  • デジタル優先のマインドセセット
  • 個人活用から始める手軽さ
  • 成功事例をチームに共有し巻き込む

この3つが重要な理由は何でしょうか。学校全体で大きなシステムをいきなり導入しようとすると、予算の問題や「苦手な人」からの抵抗が大きく、失敗しやすいからです。

まずは管理職の承認が要らない、自分一人が楽になる小さな工夫から始めてみましょう。

ショートカットキーを覚えるとか、音声入力を試してみるとか、そういった身近なことで構いません。

そこで「こんなに楽になった」という小さな成功体験を積み、その便利さを周囲の同僚に見せていくわけです。

この記事で紹介するアイデアも、この3つの鉄則がベースになっています。自分ができることから始めて効果を実感すること。これが学校全体の業務改善に向けた最も確実な一歩となります。

教員業務の多忙化とICTの活用が求められる背景

「教員の多忙化」は、今や深刻な社会問題です。授業準備や生徒指導といった「教師が教師でなければできないこと」に注力したいのに、山積みの事務作業に追われている。そんな現状ではないでしょうか。

この多忙化対策として、ICTの活用が強く求められています。

背景にあるのがGIGAスクール構想の進展です。全国の学校で高速ネットワーク環境と生徒・教員への1人1台端末が整備されました。業務改善を行うための「道具」がようやく全教員の手に行き渡ったということです。

ただし、道具があるだけでは業務は改善されません。それをどう使いこなし、従来の非効率な業務プロセスをどう変革していけるか。そこが問われています。

なぜ学校のICT化は遅々として進まないのか?

環境が整備されても、多くの学校現場でICT化が進まないのはなぜでしょうか。ベテラン教員が退職して世代交代が進んでも、「紙ベースの文化」は根強く残っています。

驚くべきことに、若手の教員であっても基本的なショートカットキー(Ctrl+CやCtrl+Vなど)を知らず、マウス操作でコピー&ペーストをしているケースも珍しくありません。これは個人のスキルというより、業務プロセス自体がアナログのまま引き継がれ、「デジタルで効率化する」という発想が組織に根付いていないことが原因でしょう。

決裁はいまだに紙の書類とハンコ、職員への連絡は印刷物。こうした文化が残っている限り、部分的にデジタルツールを導入しても大きな効果は得られません。

業務改善成功の鍵となるマインドセット:「デジタル優先」

ここで重要になるのが、「デジタル優先」というマインドセットへの転換です。「アナログでもできること」は、どうしても慣れたアナログな方法が選ばれがちです。

そうではなく、「デジタルでもアナログでもできることは、まずデジタルでやる」。これを校内で宣言することが大切です。

とはいえ、全員を一度に変えるのは困難でしょう。だからこそ、まずは自分一人で完結できる「個人活用」から始めるべきです。自分がデジタル化によって楽になり、その姿を見せること。これが周囲を動かす最も強力な説得材料となります。


教員業務の効率化テクニック

業務改善は大きなシステム導入だけではありません。

管理職の承認を必要とせず、あなたの工夫次第で今日から実践できる「個人の効率化」テクニックを紹介しましょう。

必須テクニック!頻繁に使うショートカットキー10選(リスト形式)

マウスとキーボードの間を手が往復する時間は、積み重なると膨大になります。使用頻度の高いショートカットキーを覚えることから始めてみてください。

  • Ctrl + C:コピー(選択した項目をコピーする)
  • Ctrl + V:貼り付け(コピーした項目を貼り付ける)
  • Ctrl + X:切り取り(選択した項目を切り取る)
  • Ctrl + Z:元に戻す(直前の操作を取り消す)
  • Ctrl + Y:やり直す(元に戻した操作をやり直す)
  • Ctrl + S:上書き保存(作業中のファイルを保存する)
  • Ctrl + F:検索(ファイル内やページ内の単語を探す)
  • Ctrl + A:すべて選択(表示されているすべてを選択する)
  • Alt + Tab:ウィンドウの切り替え(開いているアプリを切り替える)
  • Windows + D:デスクトップの表示(すべてのウィンドウを最小化する)

これらを無意識に使えるようになるだけで、文書作成や情報収集のスピードが格段に上がります。

時間を奪う「文書作成」は音声入力とクラウドで効率化

所見や指導案、保護者へのお便りなど、教員は長文の文書作成に多くの時間を費やしています。この作業は音声入力とクラウドの活用で劇的に効率化できます。

理由は単純で、タイピングするよりも「話す」方が速いからです。Google ドキュメントやMicrosoft Wordには高精度な音声入力機能が標準搭載されています。

Google ドキュメントを開いて「ツール」から「音声入力」を選ぶだけ。まずは思いつくままに話せば、AIが自動でテキスト化してくれます。誤字脱字の修正は後でタイピングする方が、ゼロからすべてを打ち込むより圧倒的に速いです。

さらに、これらの文書をクラウド(Google ドライブやOneDrive)で作成すれば自動保存され、学校のPCでも自宅のPCでも、どこからでも作業の続きができます。

費用対効果抜群!個人PC環境を整える工夫

安価な周辺機器への投資は、個人活用における業務改善の費用対効果が抜群です。

たとえば「サブディスプレイ」の導入。1〜2万円程度で購入できますが、片方の画面で資料(指導案や名簿)を見ながら、もう片方の画面で作業(通知票入力や文書作成)ができるため、作業効率は2倍以上になります。

また、ノートPC付属のキーボードやトラックパッドではなく、数千円で買える外付けのキーボードやマウスを使うだけでも、長時間の作業による疲労が大きく軽減されます。

高価なプロジェクターを個人で買う必要はありません。まずは手元の環境を快適にすることから始めましょう。

組織、校務でチームの生産性を高めるICT活用方法

個人のスキルアップの次は、組織全体、つまり「チームの生産性」を高めるステップです。情報共有や校務処理に関する具体的な改善策を紹介します。

職員朝集をデジタル掲示板やチャットツール(Teams、Slackなど)に

朝の時間を有効活用でき、伝達漏れも防げます。わざわざ全員が集まらなくても情報が確実に届く仕組みです。

FAX文化を原則禁止に

メールやクラウドストレージでの共有に移行しましょう。紙コスト、インク代、送信・受信の手間がすべてゼロになります。

各種連絡は校内SNSやグループウェアで

既読確認による伝達の確実性がアップし、情報の一元管理もできます。

引継ぎ書類は共有フォルダで構造化

クラウド文書(Word、Googleドキュメント)化すれば、検索性が向上し、毎年のアップデートも容易です。

職員会議のペーパーレス化

アジェンダの事前共有、チャットでの意見集約により、会議時間の短縮と印刷・配布の手間削減が実現します。

まずは「FAXを原則禁止する」といった小さなルール変更からでも、組織は確実に変わっていきます。

校務支援システム導入とデータ管理の基礎

組織的な業務改善の「切り札」とも言えるのが、校務支援システムの導入です。成績、出欠、保健情報、指導要録などを一元管理できるため、適切に運用されれば業務は劇的に改善されます。

ただし、導入で失敗するケースも少なくありません。重要なのは、安さだけで業者を選定しないことです。現場の教員が本当に使いやすいシステムか、導入後のサポートは手厚いか。そこを見極める必要があります。

導入後も「使いにくい」と感じる点を放置してはいけません。現場の改善要望をとりまとめ、教育委員会などを通じて粘り強く業者に届けること。これがシステムを真に役立つツールへと育てる鍵となります。

共有フォルダの「ぐちゃぐちゃ」を解消する整理ルール

「あのデータ、どこに行った?」を防ぐのが共有フォルダの整理ルールです。ルールがないと、フォルダは「ぐちゃぐちゃ」になり、必要なファイルを探すだけで時間が溶けていきます。

共有フォルダは「明確な階層ルール」を決めることで、カオスからデータベースへと変わります。

たとえば「①年度」→「②分掌・係(教務部、生徒指導部など)」→「③具体的な業務(行事、予算など)」といった階層構造を全教員で統一します。さらに「YYYYMMDD_件名_作成者.xlsx」のようなファイル名の命名規則を設けることも有効です。

サーバー容量を気にするよりも、まずは「探す時間」をゼロにするルール作りを優先しましょう。

成績処理・集計作業の時間を劇的に短縮するツール活用

教員の業務で特に時間がかかるのが、成績処理や各種アンケートの集計作業です。これらの手作業による転記や計算は、時間を奪うだけでなく、ミスの温床にもなります。

この問題はエクセルやGoogleフォームの活用で解決できます。通知票の所見や評価を入力するためのエクセルファイルに、あらかじめ関数やマクロを組んでおけば、点数を入力するだけで評定が自動計算されるようにできます。

保護者アンケートや小テスト、行事の出欠確認などをGoogleフォームに切り替えれば、回答された瞬間にデータが自動で集計・グラフ化されます。集計にかかる時間を文字通りゼロにできる、即効性の高いアイデアです。

最新の教員業務改善|生成AIとICT活用

従来のICT活用(ショートカットやフォルダ整理)に加え、これからの業務改善のスタンダードとなるのが「生成AI」の活用です。最新のICT技術が校務をどう変えるか、その最前線を紹介しましょう。

校務で使える生成AI活用事例(指導案作成、文案作成など)

生成AIは、教員の「思考する時間」を創出する強力なアシスタントです。ゼロから資料を作る作業をAIに任せることで、教員はより本質的な「何を教えるか」「どう指導するか」に集中できます。

たとえば、こんな活用が考えられます。

指導案の骨子作成なら、「小学5年生の社会科『米づくりのさかんな地域』の指導案の骨子を50分授業で作成して」と指示します。

文案作成では、「遠足のしおりに載せる、保護者向けの持ち物に関する注意書きを作成して」と依頼すればOKです。

授業準備のサポートとして、Padlet TA(AIアシスタント機能)などを使い、授業のテーマについてAIと壁打ち(アイデア出し)するのも効果的でしょう。

ただし、生成AIの利用には注意点もあります。個人情報や機密情報(生徒の成績など)は絶対に入力しないこと。また、AIの回答は必ずファクトチェック(事実確認)することが必須です。無料ツールを利用する際は、学校や自治体のガイドラインを必ず確認しましょう。

保護者連携のデジタル化:連絡手段の負担軽減

ICTの活用は、教員だけでなく保護者側の負担軽減にもつながります。文部科学省も「学校・保護者等間の連絡手段のデジタル化」を推進しており、連絡アプリやシステムの導入が全国で進んでいます。

これまでの「紙のお便り」や「電話連絡網」は、印刷・配布する教員側も、受け取って管理する保護者側も大きな負担でした。

欠席連絡をアプリで完結できるようにすれば、朝の忙しい時間帯の電話対応が激減します。

配布物をデジタルデータ(PDFなど)で配信すれば、印刷コストが削減できる上、保護者もスマートフォンでいつでも確認できます。

メールやアプリを活用し、双方にとって便利な連絡体制を構築することが求められています。

ICT活用を定着させる方法

優れたICTツールやアイデアも、学校組織に定着しなければ「宝の持ち腐れ」です。ICT活用を苦手な教員にも浸透させ、学校文化を変革するための「仕組み」について解説します。

ICT研修の必修化と継続的なスキルアップの仕組み

ICTスキルには教員間で大きな差があるのが実情です。この差を埋めるには、継続的で強制力のある研修が不可欠です。

「任意参加」の研修では、本当に参加してほしい「苦手な人」ほど参加せず、スキル格差がますます広がってしまうからです。

対策として、分掌や学年、委員会単位での研修を必修化することが考えられます。また、職員会議の冒頭10分間を「ICTミニ研修」の時間と定め、「今月の便利ワザ」として新しいツールの使い方を共有するなど、少しずつでも粘り強く推進することが重要です。

ICT推進リーダー(情報化推進担当)の設置と役割

多くの学校には端末の管理などを行う「ICT担当」がいますが、それとは別に「校務の情報化推進担当」というリーダーを設置することが非常に有効です。

機器の管理と「活用の推進」は、求められる役割が異なります。デジタルに強く、フットワークの軽い教員がリーダーとなり、職員のスキルアップをサポートします。

具体的な役割としては、便利なツールの使い方を伝達したり、現場の「こんなことで困っている」という声を吸い上げたり、校務支援システムの改善要望をとりまとめたりすることが挙げられます。この推進リーダーの存在が、組織的な変革を加速させます。

ICT活用を「論より証拠」で浸透させる方法

ICT活用に苦手意識を持つ教員を巻き込むには、理屈で説得するより「論より証拠」が最も効果的です。

ICTを活用したことによる「良い結果」を、チームの生産性が上がった証拠として具体的に見せつけるわけです。

たとえば、アンケートを紙で集計していたら半日かかっていた作業が、Googleフォームを使ったら「今、回答が終わった瞬間に集計グラフも完成しました」と即時共有する。その圧倒的な速さと楽さを目の当たりにすれば、「自分も使ってみよう」という空気が生まれます。

その際、苦手な人が「自分だけ取り残される」と反対派にならないよう、操作マニュアルを整備したり、簡単な手順で使えるよう「レールを敷く」アプローチも重要です。教育委員会からのトップダウンではなく、現場の利便性を追求することが浸透の鍵となります。

小さな一歩が教員の業務改善につながる

本記事では、教員のICT業務改善について、明日からできる「個人活用」と、学校全体で取り組む「組織活用」の具体的なアイデアを20選ご紹介しました。

教員の多忙化が叫ばれる中、ICTの活用はもはや「できたら良い」ものではなく、「必須」のスキルです。

大切なのは、最初から完璧を目指さないこと。まずはご自身の業務の中で「これは非効率だ」と感じている作業を一つ見つけ、この記事で紹介したショートカットキーやツールの活用を試してみてください。

その小さな「楽になった」という成功体験が、あなたの働き方を変え、やがては同僚を巻き込み、学校全体の大きな業務改善へとつながっていきます。あなたの小さな一歩が、未来の教育現場を支える大きな力となるはずです。

ICTの活用で主体的な学習を支援する「田中電気 」

GIGAスクール構想の推進により、すべての児童生徒が学習用の端末を活用する環境が整備されました。

しかし、配備されたICT機器を効果的に活用するには、各学校に合わせた支援が必要です。

児童生徒の習熟度に応じた学習を実現する「きめ細かい学習指導」や、クラス全体の学びを深める「協調的な学習支援」など、多様な学習ニーズに対応できるプラットフォームが求められています。

田中電気は、これらの課題解決に必要な機能を一つに集約し、教育現場の実践的な運用をサポートすることで、児童生徒が自らの力で「主体的で創造的な学び」を実現できる環境づくりを支援します。

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田中電気の学習支援ソリューション、詳細については上記リンクからお気軽にお問い合わせください。

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