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GIGAスクールのネットワークアセスメント | 目的・手順・解決策を徹底解説

GIGAスクールネットワークアセスメント

GIGAスクール構想の実現には、快適な通信環境が不可欠です。

しかし、多くの教育現場で「動画が止まる」「接続が切れる」といった課題が報告されています。

これは、導入された多数の端末に対し、ネットワーク環境が追いついていないためです。

授業の質を保証し、ICT教育を円滑に進めるには、現状の課題を正確に把握する「ネットワークアセスメント(NA)」が鍵となります。

本記事では、GIGAスクール構想におけるNAの重要性、具体的な手順、そして課題の解決策までを詳しく解説します。

目次

GIGAスクールのネットワークアセスメント(NA)とは? 

ネットワークアセスメント(NA)とは、ネットワーク環境の現状を専門的に調査・分析することです。現在の通信量(トラフィック)や機器の状態を可視化し、問題点を特定します。

GIGAスクール構想により、全国の学校に1人1台の端末が配備されました。

しかし、多くの教育現場ICT環境課題が浮き彫りになっています。

例えば、全生徒が一斉にデジタル教科書へアクセスすると、通信速度が極端に低下し、授業が中断してしまうケースです。

原因は、回線帯域の不足や校内ネットワーク機器の性能不足など多岐にわたります。

NAは、この「なぜ遅いのか」を突き止めるための健康診断と言えます。

NAが不可欠とされる背景

文部科学省は、GIGAスクール構想の次の段階「NEXT GIGA」を見据えています。

その中で「教育DXに係る当面のKPI」として、校内の通信速度確保100%を目標に掲げました。

この目標達成のため、ネットワークアセスメントの実施が強く推奨されています。

現状の課題を放置すれば、教育DXの推進は困難です。政府もこの問題を重視し、令和5年度・令和6年度の補正予算において、学校のICT環境整備(回線増強や機器更新)に関する補助金を措置しています。

NAの実施は、補助金を活用した効果的な環境改善の第一歩となります。

学校におけるNAの重要性

学校でネットワークアセスメントを実施する重要性は、単に速度を改善するだけではありません。

  • 問題の早期発見
  • 教育の質向上
  • 将来の拡張性が確保できる
  • コスト率の向上

ボトルネック(通信の詰まり)を早期に特定し、深刻なトラブルを防ぎます。

これにより、接続安定性が確保され、動画視聴や共同編集が円滑になります。

また、デジタル教科書の本格導入など、将来のトラフィック増加に備えた計画が立てられます。

機器の更新については、闇雲に機器を買い替えるのではなく、真の課題箇所に絞った投資が可能です。

快適なICT環境は、児童生徒の主体的な学びを支える基盤となります。

ネットワーク課題を把握するステップ

学校のネットワークの課題を把握するには、文部科学省が示す標準的なフローに沿うことが大切です。最初は簡単な測定から始めて、必要に応じて詳細な調査に進むというアプローチです。

4つのステップで課題を見える化する

まず簡易帯域測定を行い、その結果から児童生徒の体感を聞き取ります。次に、課題が通信契約にあるのか、校内機器にあるのかを切り分け、最終的に詳細なネットワークアセスメント(NA)で原因を特定します。このステップを踏むことで、むやみに高額な機器投資をせずに、本当に必要な対策が見えてきます。

簡易帯域測定の実施方法

専門家でなくても実施できる第一歩が簡易帯域測定です。Fast.comやSpeedtest.netなどの一般的な速度測定サイトを利用し、教室や職員室、特別教室など複数の場所で測定します。大切なのは、授業中・休み時間・放課後など、トラフィック量が変わる時間帯ごとに測定することです。そして、測定の際は児童生徒が実際に使う無線LANで接続することがポイント。有線LANでの測定では、無線アクセスポイントの性能不足を見逃す可能性があります。

結果の見方:「当面の推奨帯域」を基準に

文部科学省は、快適な授業の目安として「当面の推奨帯域」を定めています。これは学校規模(児童生徒数)ごとに必要な通信速度の基準値です。測定結果がこの基準を大幅に下回る場合は、何らかの課題があると判断できます。ここから、さらに詳しく調査を進めるかどうかを判断するわけです。

【表:学校規模別「当面の推奨帯域」の目安】

児童生徒数当面の推奨帯域(下り)
~300人1 Gbps
301~600人2 Gbps
601~900人3 Gbps
901~1200人5 Gbps
1201人~10 Gbps

※これはあくまで目安です。利用するコンテンツ(動画配信など)によって必要な帯域は変動します。

ユーザ体感調査による定性的な課題特定

簡易帯域測定の数値だけでは見えない課題もあります。そこでユーザ体感調査が重要です。実際に端末を使っている教職員や児童生徒の声は、ボトルネックを特定する貴重な情報源となります。

接続安定性や応答速度など、「数値には出ないが使いにくい」という定性的な情報を集めましょう。

【表:ユーザ体感調査の質問項目例】

対象者質問カテゴリ質問項目例
教職員授業中の利用授業支援ソフトの動作はスムーズですか?
デジタル教科書や動画教材はすぐに表示されますか?
校務での利用校務支援システムの反応が遅いと感じることはありますか?
児童生徒授業中の利用タブレットがWi-Fiに繋がりにくいと感じることはありますか?
共同編集作業(Google Workspaceなど)で遅延を感じますか?
全員特定の場所・時間特に繋がりにくい教室や時間帯はありますか?

これらの回答を集約することで、「特定の教室の無線APが怪しい」「朝のトラフィックが集中する時間帯に問題がある」といった仮説を立てることができます。

ネットワークが遅い原因は、どこにある?

ネットワークアセスメントで特定される性能低下の原因は、大きく2つに分かれます。自分たちの学校がどこに当てはまるのか、まずは理解しておきましょう。

学校の外(通信事業者側)の問題

ベストエフォート型回線の限界

多くの学校が契約する「ベストエフォート型」回線は、速度が保証されません。「最大1Gbps」という表示は理論値に過ぎず、混雑時間帯や地域によって大きく低下します。特にGIGAスクール導入後、同時アクセス数が増えると顕著です。

セッション数不足

同時にインターネットに接続できる通信数には上限があります。端末数が激増したGIGAスクール環境では、この上限に達して「繋がらない」という状況が発生します。

学校の中(校内機器)の問題

無線AP(アクセスポイント)の性能不足

古いWi-Fi規格の機器や低価格な無線APでは、1クラス40台の端末が同時に通信すると処理しきれません。

ルーター・スイッチの能力不足

全校の通信が集約される機器の処理能力が低いと、ここがボトルネックになります。

LANケーブルの古さ

古い規格のケーブルを使っていると、高性能な機器でも速度が出ません。

課題解決のための具体的な対策

ネットワークアセスメントで課題が特定できたら、具体的な解決策を講じます。対策には、大きく3つの方向性があります。

  • 契約を見直す
  • 校内機器を更新する
  • 設定と運用を工夫する

契約を見直す

ベストエフォート型回線の混雑が原因なら、契約の切り替えが有効です。帯域確保型(ギャランティ型) に切り替えると、契約した帯域を常に保証されるため、安定した通信速度が実現します。より高価ですが、教育DXの基盤としては投資の価値があります。

もう1つの選択肢は、IPoE接続 への変更です。従来のPPPoE方式の混雑しやすい経路を避けることで、新しい接続方式でも速度が大幅に改善することがあります。多くのISPが対応しており、コスト効率が良いため、まずはこちらを検討する学校も多いです。

参考までに、帯域確保型は月々のコストは高めですが、IPoE対応のベストエフォート型なら中程度、従来型なら安価です。補助金を活用できる場合があるので、ISPに相談してみましょう。

校内機器を更新する

Wi-Fi 6(11ax)対応の無線アクセスポイント(AP)に更新するだけでも、多数の端末が同時接続しても速度が落ちにくくなります。同時に、全校のトラフィックを処理するルーターやスイッチも、より処理能力の高いモデルに更新することで、ボトルネックが解消されます。電波が届きにくい場所には、無線APを増設して、1台あたりの負荷を分散させるのも効果的です。

設定と運用を工夫する

実は、高額な機器更新をせずとも改善できるケースもあります。無線APの ローミング設定 を最適化すれば、児童生徒が移動した際に電波の弱いAPに繋ぎ続けることがなくなります。また、OSアップデートを全端末が一斉に行うと帯域が圧迫されるので、夜間や週末に分散させる運用が有効です。さらに、複数のAPのチャンネル設定を見直して電波干渉を減らすだけでも、接続の安定性が向上します。

ネットワークアセスメント実施事業者の選び方

ネットワークアセスメントは、多くの学校が外部事業者に委託しています。ただし、事業者による技術力や提案内容には大きな差があります。失敗しない事業者選びのために、以下の3つのポイントをチェックしましょう。

  • 学校ネットワークの実績を持っているか
  • 問題の原因を見つけてくれるか
  • 将来を見据えた提案ができるか

学校ネットワークの実績を持っているか

まず確認すべきは、文部科学省のガイドラインに準拠したアセスメント実績です。一般的なネットワーク調査ではなく、GIGAスクール関連機器(無線APやルーターなど主要メーカーの機器)に対する深い知見があるかどうかが大切です。 

問題の「原因」を見つけてくれるか

どの事業者も「ネットワークが遅い」という結果は報告できます。重要なのは、その先です。「なぜ遅いのか」「どこがボトルネックか」を明確に指摘できる事業者を選びましょう。また、ハードウェアの入れ替えだけでなく、設定変更などのソフトウェア対応による改善提案も可能かどうか確認することをお勧めします。

将来を見据えた提案ができるか

帯域確保型回線サービスの提供やISPとの調整実績があるか、またNEXT GIGAへの対応を視野に入れた拡張提案ができるかもチェックポイント。単なる現状改善ではなく、長期的なネットワーク構想を一緒に考えられるパートナーを選ぶことが、結果的にコスト削減にもつながります。

まとめ

本記事では、GIGAスクール構想におけるネットワークアセスメントの重要性を解説しました。

  • ネットワークアセスメント(NA)は、教育現場の通信課題を特定する「健康診断」
  • 文部科学省も推奨しており、課題の把握は「当面の推奨帯域」の達成に不可欠
  • ボトルネックは、ISP側(ベストエフォート型など)と校内ネットワーク側(無線AP性能不足など)に大別される。
  • 解決策は、帯域確保型への変更、Wi-Fi 6機器への更新、設定の見直しなど多岐にわたる。
  • NAは、NEXT GIGA教育DXを推進するための重要な第一歩。

快適なICT環境は、これからの時代の学びを支えるインフラです。ネットワークアセスメントを通じて課題を正確に把握し、児童生徒がストレスなく学べる環境を実現しましょう。

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