高等学校のGIGAスクール構想 全校生徒学習用iPadを導入いただきました。
導入までの道のり
埼玉県立川口北高等学校 教務主任 福元様に導入前、導入後についてインタビューをさせていただきました。
――― 今年3月に今回の生徒学習用のタブレット導入に至るまでの経緯を伺えますか?
福元様
まず初めに川口北高等学校では、2018年までに県による校内ネットワークの整備が行われ同じ年に44台のChromebookが配備されました。
当時は、授業内容によって生徒40名に渡して授業を行っている教員もいました。
学校としては2021年の5月末に「2022年4月からのタブレット導入」を決めて2021年の7月に田中電気さんに問い合わせをしたのがきっかけですね。
8月から校長と教頭、私と田中電気さんで何度もお会いして、何かあったらいつでも来てくれるとか、不具合が起きた際のフリーダイヤルを用意いただくとか、そういった体制作りなども含めて打ち合わせというか雑談にも近いような形で、大小かかわらず様々な要望を聞いていただきました。
その中から必要項目をピックアップしてもらって一緒に体制を作り上げていったという感じでした。
教員間でネガティブな発想もなく、保護者からの疑問・質問もなかった
――― 国からGIGAスクール構想を広める動きがあり大変だったことはありますか?
福元様
不幸中の幸いと言いますか、GIGAスクール構想の前にコロナが流行した影響で県から臨時休校の方針が決まって、分散登校の時にもGoogle Workspaceを活用するようにと通達がありました。
そこから本校でもオンライン上でホームルームや授業、動画配信を活用するようになりました。
やはり違和感を覚える先生もいましたが、この状況を打開する術として「生徒の為にも使わないと!」とは全教員が思っていたのでネガティブな発想はなかったですね。
――― 保護者の負担に対しての理解についてはいかがでしたか?
福元様
経済的に厳しい生徒にも使ってもらえるようにと、田中電気さんより予備機という形でiPadを数台用意していただきました。
ですが実際には予備機を使用している生徒はゼロで、皆さんに購入いただきました。
説明会でも保護者の方から疑問の声や質問は一つもなく、教育の為の学習ツールならとご理解いただけました。
生徒の希望する端末で、よりよい授業環境が提供できた
――― 生徒用の端末としてiPadを選んだ理由はありますか?
福元様
冒頭でお話したように、本校ではすでにChromebookが配布されていました。
しかし、入学前の学校説明会を3回実施し中学生にアンケートを取ったところ、iPadを希望する生徒が多い結果となりました。
理由としては、普段からiPhoneを使用していることが大きいようです。
他にも中学校ではChromebookを使用していたことから、iPadになることでグレードアップした感じがあるのではないでしょうか。
――― 導入から2か月が経って校内での様子・授業での活用方法についてお伺いできますか?
福元様
先生が黒板にプロジェクターで映している画像をロイロノート(※)を利用して直接生徒の端末に共有したり、生徒が回答を提出したり、iPadで調べ物をするなど授業で活用しています。
iPadの使用頻度は教科によってバランスは異なりますが、先生方で意見交換をしながら使い方を熟成させています。
一人一台のタブレットになって、今までは白黒で配布していたプリントからフルカラーのイメージや動画資料、アニメーションを共有できる為、生徒たちはより分かりやすく学ぶことができているようです。
授業だけではなく部活動や保護者会の案内など学校から発信する情報も、紙からデータで配信することでペーパーレスにもなり、プリントの紛失などもなくなりました。
――― iPadを選んで良かった点や、良くなかった点など感じることはありますか?
福元様
良かった点は生徒たちが望んだものであること、普段から使い慣れているおかげで使い方についての説明を教員がほとんどすることが無かったということです。
iPadにして良くなかった点は、正直無いです。
――― 生徒の皆さんはキーボードを使用している方、タブレット用のペンを使用している方がいらっしゃいましたが、使い方は生徒の皆さんに委ねているのでしょうか。
福元様
そうですね。生徒に委ねています。
プリントに手書きで書いたものを写真を撮って提出したり、iPad上で書き込んで提出したり両方あります。英語の授業は今後キーボードを使うことをこだわっていく場面が出てくるようです。
※ロイロノート
すべての授業の支援する学校学習用のアプリケーション。
授業での利用のほかにも、学校からのお知らせの配布や生徒からのノートの提出、動画の共有、教員間での会議など様々な場面で活用できる。
GIGAスクールだからできることを探求しどんどん活用していきたい
――― 最後に今後の利活用と展望についてお聞かせください。
福元様
生徒の情報収集力をしっかりと身に着けさせるツールになると思うのと、教員のほうが様々な状況に対応できる力とスキルを身に着けていかなければいけないなと思います。
今学校は「探究活動」を広げていこうという動きがあります。
本校はWiFiモデルではなくLTEモデルにしたので、郊外活動でもどんどん活用したいと考えています。
教員によって「自分自身のノートを大学受験のための参考書のように作りなさい」というイメージで伝える教員もいるんですが、これはネット上で作成することで生徒たちのノートを図書館で貸し借りするような感覚であの人はこんな風に勉強しているんだ!と、お互い参考にすることができる面白いアイディアだと思います。