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英語×ICT機器活用ガイド|授業改善から遠隔交流まで現場で使える実践事例集

英語×ICT機器活用ガイド|授業改善から遠隔交流まで現場で使える実践事例集

英語教育におけるICT機器の活用は、もはや選択肢ではなく必須の取り組みです。

GIGAスクール構想により一人一台端末が全国の学校に整備された今、ICTをどう英語の授業に活かすかが教師に問われています。

文部科学省の調査では、ICTを積極的に活用している地域ほど生徒の英語力が高いという相関が報告されています。

本記事では、文部科学省の資料や全国の実践事例をもとに、英語教育でICT機器をどのように活用すべきかを「言語活動・練習」「交流・遠隔授業」「コンテンツ・授業運営」の3分類で体系的に解説します。

ICT活用に不安を感じている先生も、すでに取り組んでいる先生も、明日の授業から使えるヒントが見つかるはずです。

目次

学習指導要領におけるICT活用の位置づけ

結論として、新学習指導要領は小・中・高すべての校種で、英語教育におけるICT活用を明確に求めています。

その背景には、外国語教育とICTの高い親和性があります。

昭和33年の学習指導要領にはすでに「レコードや蓄音機の活用」が記されていました。

音声を聞く環境整備は、外国語教育の推進に欠かせないものだったのです。

時代が変わり、レコードはカセット、CD、そしてタブレットへと進化しました。

現在の学習指導要領では、視聴覚教材やコンピュータ、情報通信ネットワークなどを有効活用し、指導の効率化や言語活動のさらなる充実を図ることが明示されています。

外国語科の目標とICTの関係

新学習指導要領の外国語科の目標は、3つの柱で構成されています。

  • 知識・技能の習得
  • 思考力・判断力・表現力等の育成
  • 学びに向かう力・人間性の涵養

出典:文部科学省「外国語の指導におけるICTの活用について」p.5-6

ICTは、この3つの柱すべてに貢献できるツールです。

たとえば、タブレットの録音機能を使えば、自分の発音を客観的に振り返ることができます。

これは「知識・技能」の定着に直結します。

オンラインで海外の生徒と英語で意見を交わす活動は、「思考力・判断力・表現力」を鍛えます。

そして、ICTを活用した多様な言語活動を通じて、「主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度」が育まれるのです。

ICT活用状況の現状と課題

では、全国の学校ではICTがどの程度活用されているのでしょうか。

文部科学省「英語教育実施状況調査」のデータを見てみましょう。

活用内容小学校中学校高校
ICT機器の活用を行った学校の割合99.1%96.6%91.7%
教師がデジタル教材等を活用した授業99.0%92.4%88.9%
児童生徒がPC等で発表・やり取り41.4%44.0%47.4%
発話や発音の録音・録画活動21.8%36.6%34.2%
キーボード入力等で書く活動20.3%23.7%29.8%
遠隔地の児童生徒と英語で交流3.0%3.2%5.9%

※文部科学省「英語教育実施状況調査(令和元年度)」より作成

表から読み取れるのは、教師側のICT活用(デジタル教材の提示など)は9割を超える一方、児童生徒自身がICTを操作する活動はまだ発展途上であるということです。

特に、遠隔地の児童生徒と英語で交流する活動は3〜6%程度にとどまっています。

OECD PISA2018調査でも、日本の学校で外国語の授業にICT機器を「使っていない」と回答した生徒の割合は67.0%で、参加国中ワースト1位でした。

一方で、ICTを積極的に活用している都道府県ほど、高校生の英語力(CEFR A2以上の割合)が高いというデータもあります。

ICTを積極的に活用せずに、生徒の英語力目標(50%)を達成している都道府県はありません。

このデータは、ICT活用が英語力向上の必要条件であることを示唆しています。

【言語活動・練習】英語の4技能を伸ばすICT活用

英語教育におけるICT活用の最大の利点は、児童生徒の言語活動の充実と、指導・評価の効率化を同時に実現できる点です。

ここでは、全国の学校で実際に行われている実践事例を技能別に紹介します。

「話す」力を伸ばす録音・録画活用

「話す」活動でICTが最も力を発揮するのは、録音・録画機能の活用です。

従来の授業では、教師が一人ひとりのスピーチをリアルタイムで評価するしかありませんでした。

しかしタブレットの録画機能を使えば、以下のようなことが可能になります。

•   生徒が自分の発表を録画し、自己評価・振り返りに活用

•   ALTが録画を後から視聴し、音声面のフィードバックを提供

•   パフォーマンステストの記録を保存し、経年変化を追跡

•   優秀な発表を全体で共有し、学び合いに活用

【実践事例】京都教育大学附属桃山小学校

児童がタブレット端末で自分の発表を録画し、気付いた点を振り返りシートに記入する活動を実施しています。

録画された他の児童の発表を視聴し、タブレット端末にコメントを記入する「児童同士のフィードバック」も行われています。

交流画面では全員のコメントを一覧にして閲覧できるため、多くの視点から自分の発表を改善できます。

【実践事例】岐阜大学教育学部附属中学校

インフォメーションギャップを活用した即興プレゼンテーションの授業です。

教師のICT機器から生徒のタブレットに異なるタスクを一斉配信し、1対1のプレゼンテーションを実施。

聞き手の興味に合わせて、タブレットに保存した画像を選びながら即興で説明するという高度な活動が行われています。

「書く」「読む」力を伸ばすオンライン共有

「書く」活動では、授業支援アプリを使った筆記の共有と添削が効果的です。

紙のノートでは、教師が全員の英作文を確認するのに膨大な時間がかかります。

しかし、オンラインなら生徒の筆記を即時に全員と共有し、一人ひとりに添削を返すことも可能です。

【実践事例】北海道教育大学附属釧路中学校

Web会議システム(Google Meet)で学習課題を提示し、生徒は授業支援アプリ(ロイロノート)に自分の考えを書き込みます。

一人ひとりの筆記が即時に全員と共有されるため、通常は2〜3人の発表に限られていた活動が、クラス全員の考えの交流へと広がります。

教師はロイロノート上で一人ひとりの英作文に添削を返すことができ、音声を録音させてスピーキング評価にも活用しています。

【実践事例】横浜国立大学教育学部附属横浜中学校

Microsoft Teamsを活用し、SNSのようなオンライン上で生徒同士が英語でやり取りする「書く活動」を実施。

投稿によるやり取りは日常生活で使用しているSNSと同じ形式のため、実生活に即した英語の実践になります。

生徒が自発的に英語で日記を書いたり、映画の感想を投稿したりする姿も見られるようになったそうです。

「聞く」力を伸ばす個別最適化学習

一人一台端末の最大の強みは、「個別最適化された学習」を実現できる点です。

「聞く」活動では、音声の再生速度を自分で調整したり、苦手な部分を繰り返し聞いたりできます。

クラス全員で同じ音声を同じ速度で聞くしかなかった従来の授業とは、まったく異なるアプローチです。

•   音声速度を変えて繰り返し再生する個別リスニング練習

•   弱音や音変化に特化したアプリによる聞き取り練習

•   デジタル教科書を生徒端末にインストールし、各自で音読練習

•   動画教材(NHK for Schoolなど)とWebアンケートフォームを組み合わせた家庭学習

【実践事例】埼玉県所沢市立北野中学校

休業期間中に、動画コンテンツ(NHK for School)とGoogleフォームを組み合わせた家庭学習を実施。

生徒が解答を送信すると、正答と解説が自動返信される仕組みです。

回答は自動で一覧化され、教師は正答率や解答状況を一目で確認できます。

この取り組みは生徒・保護者ともに好評で、学校再開後も週末課題として継続されています。

【交流・遠隔授業】教室の壁を超える「本物のコミュニケーション」

ICTの真価が最も発揮されるのは、教室を飛び越えて世界とつながる場面です。

遠隔授業や海外交流は、生徒が「本物の英語」に触れる貴重な機会を生み出します。

教科書の英語だけでは得られないリアルなコミュニケーション体験は、英語学習の動機づけとして非常に強力です。

文部科学省も、この領域のICT活用をとりわけ重視しています。

海外の学校との遠隔交流

Web会議システムを使えば、教室にいながら海外の生徒と英語でやり取りすることができます。

テストのための英語ではなく、「伝えるための英語」を意識するきっかけとして、この活動は極めて有効です。

【実践事例】滋賀県立米原高等学校・宮崎県立日南振徳高等学校

「Mystery Skype」と呼ばれる活動で、お互いの国を知らない状態で2国間の教室をWeb会議システムでつなぎます。

英語で質問しながら相手の国を当てるというゲーム形式の交流です。

校種・地域を問わず実践可能で、即興でのやり取り力が自然に鍛えられます。

【実践事例】北海道札幌国際情報高等学校

Web会議システム(Zoom)を使い、台湾やアメリカとつながる授業を展開しています。

海外ゲストの講義を英語で聞いて質疑応答したり、アメリカの大学とプレゼンテーションやディスカッションを行ったりしています。

また、アメリカやロシアの姉妹校とオンラインで交流する活動も定常的に実施されています。

ALT・外部人材を活用した遠隔指導

ict機器英語の授業でオンライン交流に参加する生徒と先生

ALTが常駐していない学校や中山間地域の学校にとって、遠隔指導は教育格差を埋める強力なツールです。

Web会議システムを使えば、一つの教室に複数のALTをオンラインでつなぐことも可能になります。

【実践事例】青森市教育研修センター

市が契約する全ALTをコンピュータ室に集め、各学校とZoomで接続する遠隔指導を実施。

従来は特定のALT一人が訪問していた学校でも、複数のALTと対話する機会が生まれました。

一つの教室に複数のALTをつなぐことで、生徒がALTと英語で対話する時間が大幅に拡充されたのです。

【実践事例】宮崎県立高鍋高等学校

フィリピン、カナダ、日本の文化を熟知した3名のALTをオンラインでつなぎ、同時双方向の遠隔授業を実施。

異なるバックグラウンドを持つALTの会話を聞くことで、多様な英語の発音やアクセント、文化的な考え方に触れることができます。

出典:同資料 p.47

【実践事例】高知県土佐町立土佐町中学校

海外(フィリピン)の英会話講師と生徒をタブレットで1対1でつなぐマンツーマンレッスンを導入。

マンツーマン形式にすることで、一人あたりの発話量が飛躍的に増加しました。

マンツーマンレッスンが控えていることを意識して、練習時間から全員が集中して取り組むようになったという効果も報告されています。

出典:同資料 p.52

臨時休業・非常時への対応

コロナ禍や自然災害による臨時休業は、ICT活用の重要性を改めて浮き彫りにしました。

平常時からICTを使った英語授業に慣れ親しんでいる学校は、非常時でも学びの保障がスムーズに行えます。

【実践事例】佐賀県立伊万里実業高等学校

Web会議システムを使ったオンライン授業と登校を組み合わせたハイブリッド型の授業を実施。

導入10分、展開35分、まとめ5分の計50分構成で、対面授業と遜色ない授業展開を実現しました。

【実践事例】北海道札幌国際情報高等学校

臨時休校期間中、「Be a YouTuber」と題した自己紹介動画の制作・投稿活動を実施。

生徒は英語で自己紹介動画を撮影してオンラインで提出し、教師・ALTがフィードバックを返しました。

英語で話したり書いたりする機会を途切れさせず、休校中でも英語力を維持・向上させることに成功しています。

【コンテンツ・授業運営】指導の質と効率を高めるICT活用

ICT活用は、言語活動や交流だけでなく、授業運営そのものの質と効率を高めます。

板書時間の短縮、視覚的な資料提示、デジタル教科書の活用など、教師の負担軽減と授業の質向上を同時に実現できるのです。

デジタル教科書・教材の活用

デジタル教科書のイメージ

デジタル教科書の導入により、英語の授業は大きく変わります。

主な利点は以下のとおりです。

•   板書時間の短縮による「待ち時間」の削減

•   音声や映像と連動した視覚的な理解支援

•   タッチ操作で即座に英語音声を再生できるインタラクティブ性

•   クラス全体での即時的な共有とフィードバック

文部科学省が作成した小学校用デジタル教材(Let’s Try!、We Can! 対応)では、教材の誌面をそのまま表示しつつ、動画や音声と連動した学習が可能です。

「絵辞書機能」で必要な英語を検索したり、画面上に書き込みをしたりする機能も備わっています。

教師が板書や説明に費やす時間を減らし、その分を言語活動に充てることができるのが最大のメリットです。

授業改善と評価への活用

ICTは、教師の指導改善にも大きく貢献します。

パフォーマンステストの音声データや生徒の筆記を蓄積すれば、ポートフォリオ評価や経年変化の追跡が可能になります。

【活用例1】パフォーマンステストの効率化

生徒のスマートフォンやタブレットで録音・録画したスピーチをオンラインで提出させ、ALTと協力して授業後にじっくり評価する方法が広がっています。

リアルタイムのテストでは評価しきれなかった細かな発音や表現力も、録画をもとに丁寧に評価できます。

【活用例2】ビッグデータによる指導法開発

一人一台端末に保存された生徒の発話や筆記データを、大規模なビッグデータとして活用する構想も進んでいます。

日本人学習者が生じやすい誤りや英語習得の過程をデータ分析で明らかにし、より効果的な指導法を開発してフィードバックする。

端末が全国に普及した今こそ可能になる、次世代の英語教育改善です。

ICT活用を成功させるためのポイント

最後に、英語教育でICT活用を成功させるための実践的なポイントを整理します。

全国の実践事例から見えてきた成功の鍵は、以下の5つです。

ICTはあくまで「手段」であり、目的は言語活動の充実

ICTを使うこと自体が目的にならないよう注意が必要です。
「この活動にICTを使うと、生徒の言語活動がどう充実するか」を常に意識しましょう。

「教師が使う」から「生徒が使う」への転換

デジタル教材の提示は9割以上の学校で実施済みですが、生徒自身がICTを操作する活動はまだ発展途上です。
一人一台端末の環境を活かし、生徒主体の活動を増やしていきましょう。

平常時から遠隔交流に慣れておく

コロナ禍で明らかになったように、平常時からICTを活用した遠隔授業に慣れ親しんでおくことが、非常時の学びの保障につながります。

小さく始めて、段階的に広げる

最初から大規模な遠隔交流を目指す必要はありません。
まずは録音・録画を使った振り返り活動など、手軽な活用から始めて徐々に広げていくのが現実的です。

「本物のコミュニケーション」を大切にする

AIや翻訳機が進化しても、コミュニケーションの目的や場面を踏まえ、文化や相手への配慮をしながら伝え合う力の育成は、人間にしかできません。
ICTは、その「本物のコミュニケーション」の機会を飛躍的に広げるパートナーです。

まとめ

英語教育におけるICT機器の活用は、言語活動の充実、遠隔交流の実現、そして授業運営の効率化という3つの軸で、教育現場に大きな変革をもたらします。

文部科学省の調査データが示すように、ICTを積極的に活用している地域ほど生徒の英語力は高く、その相関は明確です。

GIGAスクール構想によって一人一台端末の環境が整った今、ICTをどう活かすかは教師一人ひとりの実践にかかっています。

まずは本記事で紹介した実践事例の中から、自分の学校や教室で取り入れられそうなものをひとつ選び、明日の授業から試してみてください。

GIGAスクール構想の推進により、すべての児童生徒が学習用の端末を活用する環境が整備されました。

しかし、配備されたICT機器を効果的に活用するには、各学校に合わせた支援が必要です。

児童生徒の習熟度に応じた学習を実現する「きめ細かい学習指導」や、クラス全体の学びを深める「協調的な学習支援」など、多様な学習ニーズに対応できるプラットフォームが求められています。

田中電気は、これらの課題解決に必要な機能を一つに集約し、教育現場の実践的な運用をサポートすることで、児童生徒が自らの力で「主体的で創造的な学び」を実現できる環境づくりを支援します。

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