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教育DXの鍵はクラウド活用にあり!GIGAスクール時代の授業・校務改革完全ガイド

教育DXの鍵はクラウド活用にあり!GIGAスクール時代の授業・校務改革完全ガイド

教育現場のクラウド活用は、もはや選択肢ではなく必須の取り組みとなっています。
GIGAスクール構想により1人1台端末が整備された今、次に求められるのはクラウドを最大限に活用した授業改革と校務効率化です。
本記事では、文部科学省が推進する「令和の日本型学校教育」の実現に向けて、クラウドがどのように授業と校務を変革するのか、そしてセキュリティ面での不安をどう解消すべきかを、具体的な事例とともに徹底解説します。
現場の先生方や教育委員会の担当者が、明日から実践できる知識とヒントをお届けします。

目次

教育現場でクラウド活用が必須な理由

教育現場におけるクラウド活用は、単なるデジタル化のトレンドではありません。
文部科学省が掲げる「令和の日本型学校教育」の実現に向けて、教育の質を根本から変革する基盤として位置づけられています。
従来の紙ベースやオンプレミス型のシステムでは、個々の児童生徒に最適化された学びの提供や、教職員の働き方改革を実現することは極めて困難でした。

クラウド技術の導入により
学習データのリアルタイム共有
場所を問わない協働作業
そして蓄積されたデータに基づく個別最適な指導が可能になります。
これは教育現場における業務の進め方そのものを変える、いわば教育DXの中核を担う取り組みなのです。

GIGAスクール構想と「令和の日本型学校教育」

生徒が各自タブレットを持って授業を受けている

文部科学省が推進するGIGAスクール構想は、1人1台端末の整備という第一段階を経て、現在はその活用フェーズへと移行しています。
この構想の本質は、単に端末を配布することではなく、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実させることにあります。

個別最適な学びの実現には、一人ひとりの学習進度や理解度を把握し、適切な教材や課題を提供する必要があります。これを可能にするのが、クラウド上に蓄積される学習ログ(スタディ・ログ)です。
AIドリルやLMSを通じて収集されたデータは、教員が児童生徒の学習状況を多角的に把握する材料となります。

一方、協働的な学びにおいては、クラウドの同時編集機能やコメント機能が威力を発揮します。
教室内だけでなく、遠隔地の学校や専門家とも容易につながり、多様な視点を取り入れた深い学びが実現できるのです。
このように、クラウドは令和時代の教育を支える不可欠なインフラとなっています。

クラウド導入の4つのメリット(4S)

総務省が提唱する「クラウド・バイ・デフォルト原則」では、教育現場におけるクラウド活用の利点を4つのSとして整理しています。
これらは技術的な側面だけでなく、現場の実務改善に直結する実践的なメリットです。

Savable(負担軽減・コスト削減)

クラウド活用により、サーバーの購入・設置・保守にかかる初期投資と維持管理コストを大幅に削減できます。
従来のオンプレミス型システムでは、機器の更新サイクルごとに多額の予算が必要でしたが、クラウドサービスでは月額または年額の利用料のみで最新の機能を利用できます。
さらに、紙の配布物や印刷物が減少することで、教材費や事務用品費の削減にもつながります。
教職員の作業時間も大幅に短縮され、働き方改革を推進する効果も期待できます。

Secure(安全性の向上)

適切に運用されたクラウドサービスは、学校が独自に管理するサーバーよりも高いセキュリティレベルを実現できます。
大手クラウドベンダーは、24時間365日の監視体制、定期的なセキュリティアップデート、複数拠点でのデータバックアップなど、学校単独では実現困難な対策を標準で提供しています。
また、アクセスログの記録や多要素認証の導入により、誰がいつどのデータにアクセスしたかを追跡でき、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

Scalable(拡張性・柔軟性)

クラウドサービスは、児童生徒数や業務量の変動に応じて、システム規模を柔軟に調整できます。
新年度の児童生徒数増加に伴うアカウント追加も即座に対応可能で、新たな機器の購入や設置工事は不要です。
また、新しい教育手法やツールを試験的に導入する際も、小規模から始めて効果を確認してから拡大するといったスモールスタートが容易です。
この柔軟性により、教育現場の多様なニーズに迅速に対応できます。

Seamless(場所を問わない利用)

クラウドの最大の特徴は、インターネット接続があれば場所や時間を問わずアクセスできることです。
教職員は職員室の専用端末だけでなく、自宅や教室のタブレット端末からも業務を進められます。
児童生徒も学校と家庭で同じ環境を利用でき、継続的な学習が可能になります。
災害や感染症による臨時休校時にも、オンライン授業や課題配信をスムーズに実施でき、学びの継続性を保つことができます。この「ロケーションフリー」な特性が、新しい時代の教育スタイルを支えています。

【授業編】クラウドが変える「学び」の形と実践事例

クラウド技術の導入は、従来の一斉授業を中心とした教育スタイルに大きな変革をもたらしています。
黒板とチョークを使った画一的な授業から、一人ひとりの理解度や興味に応じた複線型の学びへの転換が、現実のものとなりつつあります。

この変革の核心にあるのは、クラウドが提供する「リアルタイム性」と「データ蓄積」という二つの機能です。
リアルタイム性により、教師と児童生徒、あるいは児童生徒同士が瞬時に情報を共有し、協働して学習活動を進められます。
一方、データ蓄積により、個々の学習履歴を分析し、最適な指導方法や教材を選択することが可能になるのです。

リアルタイム共同編集で実現する協働学習

協働学習の真価は、クラウドのリアルタイム共同編集機能によって初めて発揮されます。
従来の授業では、グループで一つの模造紙に意見を書き込むといった物理的な制約がありましたが、クラウド上のドキュメントやスライドを使用することで、複数の児童生徒が同時に異なる場所から書き込み、編集できるようになりました。

Googleドキュメントを例にとると、クラスの児童生徒全員が同じ文書にアクセスし、それぞれの考えを書き込みながら、他の人の意見をリアルタイムで参照できます。
誰がどこを編集しているかが色分けして表示されるため、作業の重複を避けつつ、効率的に共同作業を進められます。コメント機能を使えば、他者の意見に対してフィードバックを返すことも容易です。

さらに重要なのは、完成した成果物を共有する際の「URL共有」という概念です。
従来のようにファイルをメールに添付したり、USBメモリーで渡したりする必要はありません。
共有リンクを送るだけで、常に最新版の内容にアクセスできます。
修正や追記があっても、再度ファイルを送り直す手間は不要です。
このシンプルな転換が、授業の流れをスムーズにし、児童生徒の学習効率を大きく向上させています。

プレゼンテーション作成においても、Googleスライドやパワーポイントのオンライン版を使えば、グループメンバーがそれぞれ自分の担当スライドを作成しながら、全体の構成を確認し合えます。
放課後や週末に集まる必要もなく、各自が都合の良い時間に作業を進め、授業時間には発表の準備や練習に集中できるのです。

AI・データ活用による個別最適な学び

個別最適な学びの実現には、児童生徒一人ひとりの学習状況を正確に把握し、それぞれに最適な学習内容を提供することが不可欠です。クラウド型のLMSやAIドリルは、この理想を現実のものとしています。

AIドリルでは、児童生徒が問題を解くたびに、その正誤や解答時間、つまずきのパターンがデータとして蓄積されます。
このスタディ・ログを分析することで、どの単元が理解できていないのか、どのような誤答パターンがあるのかを詳細に把握できます。
システムは自動的に、その児童生徒に必要な復習問題や、理解を深めるための発展問題を提示します。

このアダプティブラーニングの仕組みにより、同じクラス内でも、基礎を固める必要がある児童には復習中心の課題を、すでに理解が進んでいる児童には応用問題や探究課題を提供できます。
教員は全員に同じプリントを配る代わりに、一人ひとりの進捗状況をダッシュボードで確認し、個別の声かけや支援に時間を使えるようになります。

さらに、学習データは単元テストの結果だけでなく、日々の小テストやドリルの積み重ねも含むため、より精緻な理解度の把握が可能です。定期テスト前に慌てて復習するのではなく、日常的に自分の弱点を認識し、計画的に学習を進める習慣が身につきます。
これは、生涯にわたって学び続けるための基礎力を育むことにもつながるのです。

主要ツールの活用イメージ(Google / Microsoft)

教育現場で広く採用されているクラウドプラットフォームとして、Google Workspace for EducationとMicrosoft 365 Educationがあります。
それぞれに特徴があり、学校や自治体の方針、既存システムとの親和性、教職員の習熟度などを考慮して選択することが重要です。

以下の表は、両プラットフォームの主要機能と、授業での具体的な活用シーンを比較したものです。

機能カテゴリGoogle Workspace活用シーン例Microsoft 365活用シーン例
文書作成・共同編集Googleドキュメントグループでレポートを共同執筆、教員がコメントで添削Word Online作文課題の下書きと推敲、複数教員での授業案作成
表計算・データ分析Googleスプレッドシート理科実験のデータ集計、クラス全体の集計グラフ作成Excel Onlineアンケート結果の分析、数学の統計学習
プレゼンテーションGoogleスライド調べ学習の発表資料作成、画像や動画の埋め込みPowerPoint Online修学旅行の事前学習発表、アニメーション活用
フォーム・テストGoogleフォーム小テストや振り返りアンケート、自動採点機能Microsoft Forms授業前の事前調査、理解度チェッククイズ
ビデオ会議Google Meetオンライン授業、遠隔地の学校との交流学習Microsoft Teams保護者面談、専門家とのオンライン講演会
課題管理Google Classroom宿題の配信と回収、提出状況の一覧管理Microsoft Teams(課題機能)プロジェクト型学習の進捗管理、ルーブリック評価
ストレージGoogleドライブ学習成果物のポートフォリオ保存、教材の共有OneDrive個人ファイルの保管、授業動画のアーカイブ

選択のポイント

Google Workspace for Educationは、シンプルで直感的な操作性が特徴で、特にChromebookとの相性が良好です。起動が速く、複数人での同時編集時の動作も軽快で、低学年からでも扱いやすいインターフェースです。
Google Classroomを中心とした課題配信と回収のワークフローは、多くの学校で高い評価を得ています。

Microsoft 365 Educationは、企業や官公庁での利用実績が豊富で、将来社会人として働く際のスキルにも直結します。Teamsはビデオ会議だけでなく、チャット、ファイル共有、課題管理を統合したプラットフォームとして機能し、より高度なコラボレーションが可能です。
WindowsパソコンやiPadとの親和性も高く、既存の学校システムとの統合もスムーズです。

重要なのは、どちらが優れているかではなく、学校の状況や目標に合ったツールを選び、教職員が十分に使いこなせるよう研修体制を整えることです。

【校務編】次世代校務DXによる働き方改革

教職員の長時間労働は、日本の教育現場における深刻な課題として長年指摘されてきました。
授業準備、成績処理、保護者対応、各種報告書の作成など、膨大な業務が職員室での作業を前提としており、教員の働き方は硬直化していました。
クラウド技術の導入は、この状況を根本から変革する可能性を秘めています。

文部科学省が推進する「次世代校務DX」構想は、単に業務をデジタル化するだけでなく、クラウドを活用することで場所や時間の制約から解放され、真の意味での働き方改革を実現しようとする取り組みです。
この構想が目指すのは、教員が本来の業務である「子どもと向き合う時間」を最大化することなのです。

ロケーションフリーな働き方の実現

従来の学校現場では、成績処理や通知表作成は職員室の専用端末でしか行えず、個人情報保護の観点から自宅への持ち帰りは厳しく制限されていました。
その結果、教員は遅くまで職員室に残るか、休日に出勤して作業をせざるを得ない状況にありました。

クラウド化により、セキュリティを確保しながらも、場所を問わず業務を進められるロケーションフリーな環境が実現しています。
適切なアクセス制御と多要素認証を設定すれば、自宅のパソコンやタブレット端末から安全に校務システムにアクセスできます。
通勤時間の削減、家庭との両立、効率的な時間管理が可能になり、教員のワークライフバランスは大きく改善されます。

具体的には、朝の会の前に教室のタブレット端末から欠席連絡を確認し、出欠管理システムに入力できます。授業の空き時間に、図書室や教室で成績データを更新することも可能です。放課後は部活動の指導に専念し、夜は自宅で翌日の授業準備や教材研究に集中できるのです。

さらに、校長や教頭などの管理職も、出張先や教育委員会での会議中に、緊急の案件に対応できます。重要な決裁文書を確認し、電子署名で承認することで、業務の停滞を防げます。このようなシームレスな働き方は、学校全体の業務効率を向上させ、迅速な意思決定を可能にします。

校務系・学習系ネットワークの統合

これまで多くの学校では、個人情報を扱う「校務系ネットワーク」と、児童生徒が使用する「学習系ネットワーク」を物理的に分離していました。この方式は一定のセキュリティを確保できる反面、二重のインフラ維持コストが発生し、データ連携も困難でした。

文部科学省が推進する次世代校務DXでは、クラウドを前提とした適切なアクセス制御とゼロトラストの考え方に基づき、ネットワークを統合することを推奨しています。
物理的な分離ではなく、論理的な分離とアクセス権限の管理により、より柔軟で効率的なシステム構成が可能になります。

ネットワーク統合の最大のメリットは、校務データと学習データの連携です。例えば、出欠管理システムの情報とAIドリルの学習ログを統合することで、「長期欠席の児童が復帰後、どの単元から学習を再開すべきか」を即座に判断できます。健康診断の結果と体育の授業記録を組み合わせれば、体力向上プログラムの効果を検証することも可能です。

さらに、コスト面でのメリットも見逃せません。二つのネットワークを別々に管理する必要がなくなることで、サーバー設備の削減、保守契約の一本化、管理者の業務負担軽減が実現します。
浮いた予算を、教材購入や教員研修など、より直接的に教育の質を高める用途に振り向けられるのです。

ただし、ネットワーク統合を進める際には、セキュリティポリシーの見直しと、教職員への十分な説明が不可欠です。クラウド化により「どう安全性が高まるのか」を理解してもらい、新しい運用ルールを徹底することが成功の鍵となります。

クラウド活用の最大の壁「セキュリティ」の考え方

教育現場でクラウド導入が進まない最大の理由の一つが、セキュリティに対する不安と誤解です。
「クラウドは情報が外部に流出しやすい」「学校が独自に管理するサーバーの方が安全」といった声は、今でも現場から聞かれます。
しかし、これらの認識は、現代のクラウド技術とセキュリティ対策の実態を正確に反映していません。

文部科学省が改訂した教育情報セキュリティポリシーガイドラインでは、クラウドサービスの利用を前提とした新しいセキュリティの考え方が示されています。
重要なのは、「どこにデータを置くか」ではなく、「誰がどのようにアクセスできるかを適切に管理する」ことなのです。

境界型防御から「ゼロトラスト」へ

従来の学校のセキュリティは、「境界型防御」という考え方に基づいていました。これは、学校のネットワークの内側は安全で、外側は危険という前提で、ファイアウォールなどで境界を固める方式です。職員室の中であれば信頼できる環境とみなし、そこから外へのデータ持ち出しを厳しく制限するというアプローチでした。

しかし、この方式には限界があります。一度境界の内側に入られてしまえば、その後の行動を制限することが難しいのです。また、クラウドサービスやモバイル端末が普及した現代では、「内側」と「外側」の境界自体が曖昧になっています。

ここで登場するのが「ゼロトラスト」という新しいセキュリティモデルです。
ゼロトラストは、「すべてのアクセスを信頼しない」ことを前提とします。
学校のネットワーク内からのアクセスであっても、自宅からのアクセスであっても、常に本人確認を行い、必要最小限の権限のみを付与します。

具体的には、以下のような対策を組み合わせます。
まず、多要素認証により、パスワードだけでなく、スマートフォンのアプリやSMSで送られる確認コードを用いた二段階の認証を行います。
これにより、万が一パスワードが漏洩しても、不正アクセスを防げます。

次に、アクセス権限の細かな設定です。
成績データには学級担任と管理職のみがアクセスでき、保健室の記録には養護教諭と管理職のみがアクセスできるといった具合に、役割に応じて閲覧・編集権限を厳密に管理します。
すべての教職員がすべてのデータにアクセスできる状態は、もはやリスクと認識されています。

さらに、アクセスログの記録と監視により、誰がいつどのデータにアクセスしたかを追跡します。
不審なアクセスパターンがあれば、管理者に通知し、迅速に対応できます。
この透明性こそが、現代のセキュリティにおいて最も重要な要素なのです。

このゼロトラストの考え方を理解すれば、クラウドが決して「危険」ではなく、適切に運用すれば従来のオンプレミス型システムよりも安全であることが分かります。
大手クラウドベンダーは、24時間体制でセキュリティ監視を行い、最新の脅威に対するアップデートを即座に適用しています。
学校が独自にこのレベルのセキュリティ体制を維持することは、現実的に困難です。

教育情報セキュリティポリシーガイドラインのポイント

文部科学省は、令和4年に「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改訂し、GIGAスクール構想やクラウド利用を前提とした新しいセキュリティ対策の方向性を示しました。
このガイドラインは、各自治体や学校がセキュリティポリシーを策定する際の指針となるものです。

改訂の最大のポイントは、クラウドサービスの積極的な活用を推奨していることです。
従来は「原則として校務データを外部に持ち出さない」という方針でしたが、新ガイドラインでは「適切なセキュリティ対策を講じた上でクラウドサービスを利用する」ことを前提としています。

具体的に求められる対策として、以下の点が挙げられています。
まず、多要素認証の導入です。
特に管理者権限を持つアカウントや、機微な個人情報を扱う際には、必ず二段階以上の認証を求めることが推奨されています。
パスワードだけに依存するセキュリティは、もはや十分とは言えません。

次に、データの暗号化です。
クラウド上に保存されるデータは、通信時だけでなく保存時にも暗号化されている必要があります。
万が一サーバーが物理的に盗まれたとしても、暗号化されていれば内容を読み取ることはできません。
主要なクラウドサービスは、この暗号化を標準で提供しています。

また、クラウドサービスの選定基準も示されています。
セキュリティ認証(ISO27001やSOC2など)を取得しているか、データセンターの所在地はどこか、データのバックアップ体制はどうなっているかなど、技術的・法的な観点から慎重に評価する必要があります。

さらに重要なのは、教職員のセキュリティ意識向上です。

どれほど技術的に堅牢なシステムを導入しても、パスワードを付箋に書いて貼り付けたり、不審なメールのリンクをクリックしたりすれば、セキュリティは簡単に破られます。
定期的な研修を通じて、フィッシング詐欺の手口や、適切なパスワード管理の方法を学ぶ機会を設けることが必須です。

ガイドラインはまた、インシデント対応体制の整備も求めています。
情報漏洩や不正アクセスが発生した際に、誰がどのような手順で対応するのか、関係機関への報告はどう行うのか、といった具体的なフローを事前に定めておくことで、被害を最小限に抑えられます。

これらの対策を総合的に実施することで、クラウドを安全に活用しながら、教育DXを推進することが可能になります。セキュリティは「導入のハードル」ではなく、「適切に運用すべき前提条件」として捉えるべきなのです。

教育クラウド導入・活用のステップと成功のポイント

職員室でPC操作する職員

クラウド導入を検討している、あるいはすでに導入したものの活用が進まないという自治体や学校は少なくありません。
技術的な準備だけでなく、組織としての目的の明確化、教職員の意識改革、段階的な展開といった総合的なアプローチが、成功の鍵となります。

ここでは、クラウド活用を軌道に乗せるための具体的なステップと、現場で陥りがちな落とし穴を避けるためのポイントを解説します。

目的の明確化とスモールスタート

クラウド導入プロジェクトで最も重要なのは、「何のために導入するのか」という目的を明確にすることです。
「国が推進しているから」「他の自治体が導入しているから」という理由だけで進めると、機器を配備することが目的化してしまい、活用が進まない事態に陥ります。

目的設定の例としては、「教員の時間外勤務を月平均10時間削減する」「児童生徒の家庭学習時間を20%増加させる」「不登校児童生徒へのオンライン学習支援を開始する」といった、具体的で測定可能な目標を掲げることが効果的です。
これにより、導入後の効果検証も明確になります。

目的が定まったら、いきなり全校・全学年で一斉導入するのではなく、スモールスタートを心がけるべきです。
まずは、ICTに前向きな教員がいる学級や、特定の教科・単元に絞って試験的に導入します。
例えば、「6年生の社会科の調べ学習でのみ、Googleスライドを使用する」といった限定的な取り組みから始めるのです。

スモールスタートのメリットは、失敗のリスクを最小限に抑えられることです。
問題が発生しても影響範囲が限られており、改善策を講じやすくなります。
また、成功事例を学校内で共有することで、他の教員の理解と協力を得やすくなります。
「あのクラスで上手くいっているなら、うちでも試してみよう」という前向きな雰囲気が生まれるのです。

試験導入の期間中は、参加する教員からこまめにフィードバックを集めます。
「どの機能が便利だったか」「どこで困ったか」「児童生徒の反応はどうだったか」といった生の声を集約し、次の展開に活かします。
この繰り返しにより、自校に最適な活用方法が徐々に確立されていきます。

また、目的に応じて導入するツールや機能を選別することも重要です。クラウドサービスは多機能ですが、すべての機能を一度に使いこなす必要はありません。
まずは「ファイル共有」と「課題の配信・回収」という基本機能に習熟してから、ビデオ会議やフォーム作成などの応用機能に広げていくという段階的なアプローチが、現場の負担を軽減します。

教職員の意識改革と研修の重要性

クラウド導入の成否を分けるのは、技術ではなく人です。どれほど優れたシステムを導入しても、教職員が「面倒だ」「今までのやり方で十分」と感じていれば、活用は進みません。
意識改革と研修への投資は、インフラ整備と同等かそれ以上に重要なのです。

まず、管理職や推進リーダーが、クラウド活用の意義を明確に発信し続けることが必要です。
朝会や職員会議で、「なぜ今クラウドが必要なのか」「それが児童生徒の学びや教員の働き方をどう改善するのか」を繰り返し説明します。
単なる業務連絡ではなく、ビジョンを共有することで、教職員の納得感と当事者意識を醸成します。

研修は、技術的なスキル習得だけでなく、心理的なハードルを下げる場としても機能させるべきです。
「失敗してもいい」「分からないことは何でも質問できる」という安心感のある雰囲気づくりが、特にICTに苦手意識を持つ教員には不可欠です。

研修の形式も工夫が必要です。全員が集まる集合研修は、基本的な操作方法の説明には適していますが、個々の疑問や困りごとに対応しきれません。
そこで、日常的に相談できる「ICT支援員」や「校内ヘルプデスク」を設置し、困ったときにすぐサポートを受けられる体制を整えます。

また、教員同士の学び合いも効果的です。
授業でクラウドを活用した教員が、職員室で「こんな使い方をしたら児童の反応が良かった」と共有するだけで、他の教員の関心を引きます。
定期的に「活用事例共有会」を開催し、成功体験を交換することで、学校全体のスキルが底上げされます。

研修内容は、教員の習熟度に応じて段階を分けることも有効です。
初級コースでは「ログイン方法」「ファイルの保存と共有」といった基礎操作を扱い、中級コースでは「Googleフォームで小テストを作成する」「Classroomで課題を配信する」といった実践的なテーマを、上級コースでは「AIドリルのデータ分析」「カスタムアプリの活用」といった高度な内容を扱います。

重要なのは、研修を「一度受ければ終わり」とせず、継続的な学びの機会を提供することです。
クラウドサービスは頻繁にアップデートされ、新機能が追加されます。定期的なフォローアップ研修により、最新の活用方法を学び続ける文化を根付かせることが、長期的な成功につながります。

さらに、教員自身がクラウドの利便性を実感することも、意識改革の近道です。
まずは校務で活用し、「自宅でも成績処理ができる」「会議資料を紙で配らなくて済む」といったメリットを体験することで、授業での活用にも前向きになります。
教員が「これは便利だ」と感じて初めて、児童生徒への指導にも熱意が生まれるのです。

まとめ

教育現場におけるクラウド活用は、もはや未来の話ではなく、今まさに実践すべき喫緊の課題です。
GIGAスクール構想により整備された1人1台端末という「ハード」を最大限に活かすためには、クラウドという「インフラ」が不可欠であり、それは令和の日本型学校教育を実現する基盤そのものとなります。

授業においては、リアルタイム共同編集による協働学習と、AIやデータ分析による個別最適な学びが融合し、これまでにない深い理解と主体的な学習態度を育成できます。
校務においては、ロケーションフリーな働き方と業務の効率化により、教員が本来向き合うべき児童生徒との時間を確保し、真の働き方改革が実現します。

セキュリティへの不安は、正しい知識と適切な対策により解消できます。
境界型防御からゼロトラストへの転換、文部科学省のガイドラインに基づいた多要素認証やアクセス制御の実施により、クラウドはむしろ従来のシステムよりも安全な選択肢となり得るのです。

導入にあたっては、明確な目的設定とスモールスタート、そして教職員の意識改革と継続的な研修が成功の鍵です。一度にすべてを変えようとせず、できることから着実に積み重ねていく姿勢が、長期的な成果につながります。

クラウド活用は、特別な学校だけができる先進的な取り組みではありません。
どの学校でも、今日から始められる実践です。まずは一つの授業、一つの業務から、クラウドの可能性を試してみてください。
その小さな一歩が、やがて学校全体の大きな変革へとつながっていくはずです。
児童生徒の未来を拓くために、そして教職員がより充実した教育活動に専念できるために、クラウドという強力なツールを、ぜひ活用してください。

GIGAスクール構想の推進により、すべての児童生徒が学習用の端末を活用する環境が整備されました。

しかし、配備されたICT機器を効果的に活用するには、各学校に合わせた支援が必要です。

児童生徒の習熟度に応じた学習を実現する「きめ細かい学習指導」や、クラス全体の学びを深める「協調的な学習支援」など、多様な学習ニーズに対応できるプラットフォームが求められています。

田中電気は、これらの課題解決に必要な機能を一つに集約し、教育現場の実践的な運用をサポートすることで、児童生徒が自らの力で「主体的で創造的な学び」を実現できる環境づくりを支援します。

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