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GIGAスクール2026の展望|端末更新の先にある「次世代校務DX」と「学び」の変革

GIGAスクール2026の展望

GIGAスクール構想が第2期を迎える2026年は、単なる端末更新の年ではありません。
この年は、整備されたICT環境を活用した「次世代校務DX」の本格始動と、次期学習指導要領改訂に向けた教育の質的転換が同時に進む、まさに分岐点となる年です。本記事では、教育委員会や学校管理職、自治体担当者の皆様が2026年に向けて押さえるべきハード・ソフト・制度の3つのレイヤーを統合的に解説します。
端末調達から校務システムの刷新、AI活用まで、今から準備すべき具体的施策が見えてきます。

目次

GIGAスクール構想|2026年の重要性

GIGAスクール構想は2019年の開始から5年が経過し、現在は「第2期」と呼ばれるフェーズに突入しています。
第1期では1人1台端末の配備という「量的整備」が最優先課題でしたが、第2期では整備された環境をいかに使いこなすかという「質的転換」が求められています。

2026年が重要視される理由は複数あります。第1期で導入された端末の更新時期が2025年度にピークを迎え、2026年度からは新しい環境での本格運用が始まります。
同時に、文部科学省が掲げる次世代校務DXの検討・導入開始目標年度でもあり、さらに次期学習指導要領改訂に向けた議論の集約時期とも重なっているのです。

つまり、2026年は「ハードウェアの刷新」「校務システムの変革」「教育内容の見直し」という三大要素が交差する、教育現場にとって歴史的な転換点となります。
文部科学省の「令和6年度予算のポイント」では、これまでの整備実績として全国の小中学校で1人1台環境がほぼ達成されたことが示されており、第2期はこの基盤を活かした新たなステージへの移行期と位置づけられています。

端末更新のピークは2025年度、2026年は「利活用」の深化へ

MM総研が2025年7月に実施した「小中GIGAスクール第2期におけるICT整備動向調査」によれば、端末の調達は2025年度に全体の72%が集中する見込みです。
2026年度の調達は22%にとどまり、大半の自治体では既に端末更新が完了している状態となります。

参考:令和6年度予算のポイント

この数字が示すのは、2026年度は「買う年」ではなく「使う年」だということです。
新しい端末が教室に並んでいるだけでは教育の質は向上しません。
デジタル教科書の効果的な活用、MEXCBTを用いた学習評価、協働学習ツールの日常的な利用など、ICTを前提とした授業設計への転換が問われる年になります。

第1期の整備段階では、とにかく端末を配ることが最優先でした。
しかし、配った後の活用状況には地域差が大きく、十分に使いこなせていない学校も少なくありません。
2026年度は、こうした「整備格差」から「活用格差」へと課題の焦点が移る転換点です。

教育委員会や学校管理職には、端末調達のプロジェクトを完了させるだけでなく、その先の利活用計画を今から具体化することが求められています。教員研修の充実、好事例の共有体制づくり、ICT支援員の配置計画など、ソフト面の準備こそが2026年の成否を分けるカギとなるでしょう。

令和8年度(2026年)予算案から見る国の重点施策

文部科学省の「令和8年度GIGAスクール構想・学校DX関係予算概算要求の概要」を見ると、単なる端末調達費ではなく、運用面への予算配分が手厚くなっている点が特徴的です。

参考:令和8年度GIGAスクール構想・学校DX関係予算概算要求の概要

特に注目すべきは以下の予算項目です。

  • 情報活用能力の抜本的な向上(8億円)
  • GIGAスクール構想支援体制整備事業(37億円)
  • 次世代校務DX加速化事業
  • 生成AIの活用を通じた教育課題の解決・教育DXの加速

情報活用能力の向上に8億円という予算が計上されている背景には、端末が普及しても子どもたちがそれを適切に使いこなせていないという現状認識があります。
情報モラル教育、データリテラシー、プログラミング的思考など、デジタル時代に必須となるスキルの育成が急務とされています。

また、支援体制整備に37億円という大規模な予算が割かれているのは、ICT支援員の配置や外部専門家の活用が不可欠であるという認識の表れです。教員だけでは対応しきれない技術的課題やトラブルシューティングに対し、専門人材による継続的なサポート体制を構築する狙いがあります。

これらの予算措置は、現場が抱える「端末はあるが活用が進まない」「校務負担が減らない」といった課題に国が本腰を入れて対応し始めたことを意味します。
自治体としては、こうした国の支援メニューを最大限活用しながら、地域の実情に合わせた導入計画を立てることが賢明です。

補助金や基金の申請には期限があり、準備に時間を要するものも少なくありません。2026年度の予算執行を見据えるなら、2025年度中には方針を固め、必要な調整を進めておく必要があります。

端末更新とネットワーク環境の再構築

端末更新は単に古い機器を新しいものに交換するだけの作業ではありません。
OSの選定、調達方法の見直し、ネットワークインフラの再構築、予備機の確保など、インフラ全体を俯瞰した戦略的な判断が求められます。

第1期の反省を踏まえ、第2期では「都道府県単位での共同調達」が原則化されました。
これにより、自治体間での価格差が縮小し、事務負担の軽減も期待できます。一方で、各自治体の教育方針や既存システムとの互換性を考慮した柔軟な選択も必要です。

また、端末だけを更新してもネットワークが脆弱では意味がありません。
通信遅延や接続不良が頻発すれば、せっかくの端末も宝の持ち腐れとなってしまいます。
ハードウェア更新は、ネットワーク環境の総点検と一体で進めるべきプロジェクトなのです。

都道府県単位の「共同調達」と基金による支援

文部科学省の「総合経済対策及び令和5年度補正予算(GIGAスクール構想関係)について」および「学習者用コンピュータの調達等ガイドライン」では、第2期における調達の枠組みが詳細に示されています。

最も重要な変更点は、補助基準額が1台あたり5.5万円に設定され、都道府県が設置する基金を通じて支援が行われる仕組みになったことです。この基金方式により、年度をまたいだ柔軟な執行が可能になり、自治体の財政負担が平準化されます。

また、予備機の整備についても明確な基準が示されました。
整備台数の15%以内が補助対象となり、故障や破損に備えた体制づくりが推奨されています。
これは第1期で「予備機がなく学びが止まる」という事態が頻発したことへの反省に基づく措置です。

都道府県単位の共同調達には、大きく3つのメリットがあります。
第一に、スケールメリットによる調達コストの削減です。
県内の複数自治体がまとまって発注することで、単独調達よりも有利な条件を引き出せます。
第二に、仕様書作成や入札手続きといった事務作業の負担軽減です。
小規模自治体にとっては特に大きなメリットとなります。
第三に、県内での標準化により、転校時の環境変化が最小限に抑えられ、子どもたちの学びの連続性が保たれます。

ただし、共同調達だからといって画一的な選択が正解とは限りません。
各自治体の教育ビジョン、既存システムとの連携、教員のスキルレベルなどを踏まえ、必要に応じてオプション選択やカスタマイズの余地を残しておくことも重要です。

OSの選定は、5年先の教育環境を見据えた戦略的判断です。
MM総研の調査ではChromeOSのシェアが約60%に達していますが、これは低価格性や管理のしやすさが評価された結果です。一方で、既存の教育ソフトウェアとの互換性を重視してWindowsを選択する自治体もあります。
目先のコストだけでなく、将来のアップグレード可能性、アプリケーションの拡張性、セキュリティ対策の持続性なども含めて総合的に評価する必要があります。

通信遅延を防ぐ「ネットワークアセスメント」の実施

ノートPCで作業する手元と、Wi-Fi接続を示すアイコンのイメージ

文部科学省の「【資料2-2】学校のネットワークの現状について」によれば、推奨される帯域を満たしている学校は全体の約2割にとどまっています。
つまり、8割の学校では何らかのネットワーク上の課題を抱えている可能性があるということです。

端末を更新しても、ネットワークが古いままでは本来のパフォーマンスを発揮できません。
40人が同時にクラウドサービスにアクセスする、動画教材をストリーミング再生する、オンライン会議を実施するといった場面では、想定以上の通信負荷がかかります。

文部科学省は、端末更新と同時に「ネットワークアセスメント」の実施を強く推奨しています。これは、学校のネットワーク環境を専門家が診断し、ボトルネックとなっている箇所を特定する取り組みです。
アセスメントの結果に基づいて、ルーターやスイッチの入替、回線の増強、Wi-Fiアクセスポイントの増設などを行うことで、快適な通信環境が実現します。

重要なのは、アセスメントに基づく環境改善にも補助金が用意されている点です。
単に「遅い」と感じているだけでは改善の優先順位が分かりませんが、データに基づいて必要な対策を講じれば、限られた予算を効果的に使えます。

通信環境の改善は、授業の質だけでなく教員の働き方にも影響します。
成績処理や教材準備の際にシステムが重くて作業が進まないといったストレスを解消することは、働き方改革の観点からも極めて重要です。

特に注意すべきは、クラウドサービスの利用が増えるほどネットワークへの依存度が高まるという点です。
従来のように校内サーバーにアクセスするだけなら閉域網で十分でしたが、GoogleWorkspaceやMicrosoft365といったクラウドツールを常時使用する環境では、インターネット回線の品質が授業の成否を左右します。

故障・破損に備える「予備機」整備の必須化

子どもたちが毎日使う端末には、故障や破損のリスクが常につきまといます。
落下による画面割れ、バッテリーの劣化、キーボードの不具合など、トラブルの原因はさまざまです。
こうした際に予備機がなければ、修理が完了するまで子どもは学習端末を使えず、「学びが止まる」状態が発生してしまいます。

第2期のGIGAスクール構想では、予備機の整備が明確に推奨され、整備台数の15%以内が補助対象となっています。
この予備機は、単なる故障対応だけでなく、転入生への即時貸与、一時的な端末不足への対応、新しいアプリケーションの試験運用など、多目的に活用できます。

予備機の整備とセットで重要なのが、故障時の対応フローの明確化です。誰が故障を受け付けるのか、どこに修理を依頼するのか、予備機はどのように貸し出すのか、データはどう復旧するのか。
こうした運用ルールを事前に定めておかなければ、現場は混乱します。

特に注意すべきは、端末内のデータ管理です。クラウドベースで運用していれば、端末が変わっても作業の継続が容易ですが、ローカル保存が中心だと復旧に時間がかかります。
予備機運用を円滑にするためにも、日頃からクラウド活用を前提とした環境設計が求められます。

また、第1期で導入した大量の端末が更新時期を迎えることで、「廃棄端末」の処理という新たな課題も浮上しています。児童生徒のデータプライバシー協会が実施した「第2回 GIGAスクール端末処分の実態調査」によれば、適切な事業者に廃棄を委託している自治体は38.1%にとどまっています。

廃棄端末には、子どもたちの学習データや個人情報が残っている可能性があり、不適切な処理はプライバシー侵害のリスクを伴います。2026年は大量廃棄が発生する年でもあるため、データ消去の徹底と信頼できる廃棄業者の選定が不可欠です。

2026年から加速する「次世代校務DX」

職員室でノートPCを開き、打ち合わせをする教員たちの様子

文部科学省は、2026年度を「次世代校務DX」の検討・導入開始の目標年度として設定しています。
これは、従来の閉域網を前提とした校務システムから、クラウドを活用した柔軟で効率的なシステムへの移行を意味します。

校務DXの本質は、単なるシステムの入れ替えではありません。
教員の働き方そのものを変え、時間と場所にとらわれない柔軟な業務遂行を可能にすることです。
成績処理、出欠管理、保護者連絡、教材準備といった日常業務が、自宅でも出張先でもスムーズに行えるようになれば、教員の負担は大幅に軽減されます。

また、校務系と学習系のネットワークを統合することで、子どもたちの学習データと校務データを連携させ、よりきめ細かな指導が可能になります。
ただし、その実現には強固なセキュリティ対策と、教育データの適切な利活用ルールが不可欠です。

クラウド活用と「校務DX加速化事業」

文部科学省の「次世代の校務デジタル化推進実証事業(令和6年度実施)」およびデジタル庁の「校務DXの取組に関するダッシュボード」では、現在の校務デジタル化の進捗状況が可視化されています。
これらのデータを見ると、自治体間でのデジタル化率に大きな開きがあることが分かります。

次世代校務DXの最大の特徴は、パブリッククラウドを前提としたシステム設計にあります。
従来の校務システムは、学校内の閉域ネットワークでのみアクセスできる仕組みが一般的でした。
そのため、教員は成績処理や教材準備のために学校に残らざるを得ず、長時間労働の一因となっていました。

クラウド型の校務システムでは、インターネット環境さえあればどこからでも安全にアクセスできます。
自宅で成績をつける、出張先から出欠確認をする、休日に保護者への連絡文を作成するといった働き方が可能になります。これは、ワークライフバランスの改善だけでなく、育児や介護と仕事を両立する教員にとっても大きな支援となります。

また、クラウド化により、複数の教員が同時に同じデータにアクセスして協働作業することも容易になります。
学年主任が全体の進捗を確認しながら、各担任が個別の記録を更新するといった、リアルタイムでの情報共有が実現します。

デジタル庁のダッシュボードでは、各自治体の校務DX進捗状況が公開されており、他自治体の取り組みを参考にすることができます。先進自治体の事例を学びながら、自地域に合った導入計画を立てることが、効率的な校務DX推進につながります。

ただし、クラウド化には適切なセキュリティ対策が不可欠です。多要素認証の導入、アクセス権限の適切な設定、定期的な監査など、個人情報保護の観点から万全の体制を整える必要があります。

教育データ連携とセキュリティポリシーの改訂

校務DXの進展に伴い、従来は分離されていた「校務系ネットワーク」と「学習系ネットワーク」の統合が進んでいます。この統合により、子どもたちの学習履歴や評価データと、出席状況や健康記録といった校務データを連携させることが可能になります。

データ連携のメリットは、子ども一人ひとりの全体像を把握しやすくなる点にあります。学習のつまずきと欠席の増加に相関がないか、健康状態と学習意欲に関連はないか。こうした多角的な分析により、早期の支援介入が可能になります。

一方で、データ連携には高度なセキュリティ対策が求められます。従来の「ネットワークを物理的に分離する」という考え方から、「ゼロトラストセキュリティ」という新しい概念への転換が必要です。ゼロトラストとは、ネットワークの内外を問わずすべてのアクセスを疑い、常に認証と権限確認を行う考え方です。

文部科学省の「【資料3-1】次期ICT環境整備方針の在り方ワーキンググループ取りまとめ(案)(概要)」では、校務系・学習系ネットワークの統合に向けたセキュリティ要件が整理されています。この取りまとめを参考に、各自治体は「教育情報セキュリティポリシー」の改訂を進める必要があります。

クラウド時代に対応したポリシーを整備し、教職員への周知徹底を図ることが、安全な校務DXの前提条件となります。特に、外部からのアクセスを許可する以上、アカウント管理の厳格化、不正アクセスの検知体制、インシデント発生時の対応手順などを明確にしておくことが重要です。

生成AIの校務・授業への導入とガイドライン

令和8年度概算要求資料の中で、「生成AIの活用を通じた教育課題の解決・教育DXの加速」という項目が立てられています。これは、生成AIを教育現場に適切に導入し、その効果と課題を検証する取り組みです。

校務面では、通知文の下書き作成、会議議事録の要約、個別指導計画の素案作成など、定型的な文書作業の負担軽減に効果が期待されています。
教員が本来注力すべき子どもとの対話や授業準備に時間を割けるようになれば、教育の質は確実に向上します。

授業面では、個別最適化された学習教材の自動生成、生徒の作文へのフィードバック案の提示、多様な難易度の問題作成など、教員の指導を支援するツールとしての活用が検討されています。

ただし、生成AIの活用には慎重さも求められます。
個人情報を含むデータを無闇に入力すれば情報漏洩のリスクがあり、AIが生成した内容をそのまま使えば著作権侵害や誤情報の拡散につながる可能性もあります。

文部科学省は、生成AIの教育利用に関するガイドラインを示しており、各自治体はこれを参考に独自のルールを策定することが求められます。
セキュアな環境で、適切な目的のために、教員の判断を伴って活用する。この原則を守ることが、生成AIを教育の味方にするカギとなります。

パイロット校での実証研究では、どのような場面でAIが有効で、どのような場面では人間の判断が不可欠かが明らかになりつつあります。こうした知見を共有し、現場が安心して使える環境を整えることが、2026年に向けた重要な準備となります。

参考:次世代の校務デジタル化推進実証事業 

次期学習指導要領改訂を見据えた動き

2026年(令和8年)は、次期学習指導要領改訂に向けた議論が集約される重要な年でもあります。現行の学習指導要領は2017年に告示され、小学校で2020年度、中学校で2021年度から全面実施されています。次回の改訂は2030年代の実施を見据えて検討が進められており、2026年頃には方向性が固まると予想されています。

GIGAスクール構想による1人1台端末環境は、次期学習指導要領の前提条件となるでしょう。デジタル教科書の本格導入、CBT(Computer Based Testing)化の推進、情報活用能力の育成強化など、ICTを前提とした学びのデザインが中心テーマになると考えられます。

教育現場としては、現行指導要領の着実な実施と並行して、次期改訂を見据えた準備を進める必要があります。特に、デジタルツールを日常的に使いこなす力、情報を批判的に読み解く力、データを活用して課題を解決する力といった「情報活用能力」の育成は、待ったなしの課題です。

2026年度(令和8年度)は次期指導要領の「答申」の年

文部科学省の「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」を見ると、2026年度中に中央教育審議会からの答申が出される予定であることが示されています。
答申は、次期学習指導要領の基本的な方向性を示す極めて重要な文書です。

答申が出された後、2027年度には学習指導要領の告示、2028年度には教科書検定、2029年度には教科書採択という流れで改訂作業が進みます。
そして2030年代初頭には新しい学習指導要領が実施される見込みです。

つまり、2026年は次の10年間の教育の方向性が決まる分水嶺の年と言えます。
この時期に、GIGAスクール第2期による端末更新と校務DXが進むことは、決して偶然ではありません。
新しい学習指導要領を実現するためのインフラ整備が、2026年に収束するよう計画されているのです。

教育委員会や学校は、答申の内容を注視しながら、自地域の教育ビジョンを見直す必要があります。
どのような資質・能力を育成すべきか、そのためにICTをどう活用するか。
こうした根本的な問いに答えを出す時期が、まさに2026年なのです。

デジタル教科書の本格導入とMEXCBTの活用

現在、英語のデジタル教科書導入が先行して進められていますが、2026年度からは算数・数学への拡大が予定されています。デジタル教科書の強みは、動画や音声、インタラクティブな教材を組み込める点、学習履歴を記録して個別最適化できる点、アクセシビリティ機能で特別な配慮が必要な子どもも使いやすい点にあります。

デジタル教科書の導入は、単に紙をデジタルに置き換えるだけではありません。
教員の指導方法そのものを変える必要があります。
一斉授業から個別学習への転換、教員による一方的な説明から子ども同士の協働学習への転換、知識の暗記から思考力・判断力・表現力の育成への転換。こうした授業改善とデジタル教科書はセットで進めるべきものです。

同時に、MEXCBT(メクビット)の活用範囲も拡大しています。
MEXCBTは文部科学省が提供するオンライン学習・アセスメントシステムで、全国の学校が無償で利用できます。問題の自動採点、学習履歴の蓄積、個別最適な問題提示などが可能です。

文部科学省の「令和7年度以降の全国学力・学習状況調査(悉皆調査)のCBTでの実施について」によれば、2025年度には中学校理科でCBT化が実施され、2026年度以降は対象教科が順次拡大される予定です。

CBT化のメリットは多岐にわたります。

  • 採点の自動化により教員の負担が軽減される
  • 即座に結果が分かるため子どもへのフィードバックが早くなる
  • 問題のバリエーションを増やせる
  • 音声や動画を活用した多様な出題形式が可能になる

こうした利点を活かすことで、評価の質が向上します。
MEXCBTの蓄積データは、教育政策の立案にも活用されます。
全国的な学力の傾向、地域ごとの特性、経年変化などを分析することで、エビデンスに基づいた施策展開が可能になります。

また、学校レベルでも、自校の子どもたちの学習状況を全国平均と比較したり、過去のデータと照らし合わせたりすることで、指導改善のヒントが得られます。

ただし、CBT化には慎重な移行計画が必要です。
端末やネットワークのトラブルで試験が中断するリスク、デジタルデバイスの操作に不慣れな子どもへの配慮、紙のテストとの公平性の担保など、解決すべき課題は少なくありません。
パイロット実施を重ねながら、段階的に拡大していく方針が取られています。

情報活用能力の抜本的向上に向けた取り組み

令和8年度概算要求では、「情報活用能力の抜本的な向上」に8億円という予算が計上されています。
この予算は、単にICTスキルを教えるだけでなく、情報を適切に収集・判断・活用し、倫理的に扱う力を総合的に育成するために使われます。

情報活用能力には以下のような要素が含まれます。

  • 情報検索と信頼性の判断
  • データの整理と可視化
  • プログラミング的思考
  • 情報モラルとデジタルシチズンシップ
  • 著作権や肖像権の理解
  • サイバーセキュリティの基礎

これらは特定の教科だけで教えられるものではありません。
あらゆる教科の中でICTツールを活用し、情報を扱う経験を積み重ねることが重要です。
国語でインターネット検索の仕方を学び、算数でデータをグラフ化し、社会で情報の信頼性を検証する。
こうした横断的な学びが、真の情報活用能力を育てます。

そのためには、教員自身が情報活用能力を身につけ、子どもたちの手本となる必要があります。
教員研修の充実、好事例の共有、ICT活用推進リーダーの育成など、人材育成への投資が2026年に向けた鍵となります。

自治体・学校が2026年に向けて準備すべきこと

2026年に向けた準備は、ハード・ソフト・人の3つの観点から進める必要があります。
それぞれのレイヤーで具体的なアクションを起こし、計画的に取り組むことが成功のカギです。

ハードウェア面では、端末とネットワーク環境を一体で見直すことが重要です。
都道府県単位の共同調達に参加しつつも、自治体の教育方針に合ったOS選択を行う。
ネットワークアセスメントを実施し、ボトルネックを解消する。
予備機を確保し、故障時の対応フローを明確化する。これらを2025年度中に完了させ、2026年度から快適な環境でスタートできる体制を整えます。

特に注意すべきは、廃棄端末の処理です。児童生徒のデータプライバシー協会の調査によれば、適切な事業者に廃棄を委託している自治体は4割に満たない状況です。
2026年は大量の端末が更新されるため、データ消去の徹底と信頼できる廃棄業者の選定が不可欠です。個人情報保護の観点から、廃棄プロセスを今から確立しておくことが求められます。

ソフトウェア・システム面では、次世代校務DXへの移行計画を立てることが急務です。
クラウド型校務システムの選定、セキュリティポリシーの改訂、教育データの連携設計など、検討事項は多岐にわたります。
生成AIの活用ルールも含め、2026年度からの本格導入に向けて、2025年度にはパイロット運用を開始しておくことが望ましいでしょう。

デジタル庁の校務DXダッシュボードを参考に、先進自治体の取り組みを学びながら、自地域に合った導入計画を策定することが効率的です。
また、内閣官房のデジタル行財政改革会議が示す方針も視野に入れ、国全体の動きと連動した計画づくりが重要です。

人材・研修面では、教員のICTリテラシー向上が最優先課題です。
デジタル教科書の効果的な使い方、MEXCBTの活用方法、生成AIの適切な利用など、新しいツールを使いこなすには継続的な研修が不可欠です。
ICT支援員の配置や、外部専門家との連携体制づくりも含め、人的リソースの確保と育成に投資する必要があります。

概算要求で示された支援体制整備事業(37億円)を活用し、地域の実情に合った支援体制を構築することが重要です。
特に小規模自治体では、広域での支援センター設置や、近隣自治体との共同での専門人材確保など、単独では難しい取り組みを協力して進めることも有効です。

2026年は、GIGAスクール構想が真価を問われる年です。端末を整備しただけでは教育は変わりません。
それをどう使い、どんな学びを実現するのか。
その答えを出すのは、現場の教員であり、それを支える自治体の計画力です。

国の支援策を最大限活用しながら、地域の実情に合わせた独自の取り組みを進めること。
早めの計画策定と、必要に応じた専門家の活用。
この2点を意識して、2026年に向けた準備を今から着実に進めていきましょう。

参考:内閣官房 デジタル行財政改革会議


2026年までのロードマップ(参考例)

最後に、2026年に向けた準備を計画的に進めるための参考ロードマップを示します。
各自治体の状況に応じてカスタマイズしてご活用ください。

時期端末・ネットワーク校務DX学習指導要領・評価
2025年度前半共同調達への参加検討ネットワークアセスメント実施予備機確保計画策定次世代校務システムの情報収集セキュリティポリシー改訂準備生成AI活用ガイドライン検討デジタル教科書(英語)の活用拡大MEXCBT試行実施教員研修プログラム開発
2025年度後半端末調達完了(全体の72%が集中)<br>ネットワーク機器更新廃棄端末処理業者選定パイロット校での校務DX試行教育データ連携基盤設計生成AI実証研究開始全国学力調査CBT化準備<br>情報活用能力育成プログラム実施ICT支援員配置計画確定
2026年度前半新端末での授業開始ネットワーク環境改善完了予備機運用開始次世代校務DX本格導入クラウド型システム稼働セキュリティ監査実施デジタル教科書(算数・数学)導入<br>MEXCBT活用拡大次期学習指導要領答申(予定)
2026年度後半運用状況の振り返りと改善廃棄端末の適切処理実施次期更新計画の検討開始校務DX効果検証利用促進施策実施教員の働き方改革効果測定情報活用能力の育成状況評価CBT化範囲拡大準備新指導要領実施に向けた研修設計

このロードマップは一例です。
各自治体の現状、予算規模、教員のスキルレベル、地域の特性などに応じて、優先順位を調整してください。
重要なのは、ハード・ソフト・人の3つの側面を連動させながら、段階的に準備を進めることです。

2026年という明確な目標年度を見据え、逆算で計画を立てることが、GIGAスクール第2期を成功に導く鍵となります。

GIGAスクール構想の推進により、すべての児童生徒が学習用の端末を活用する環境が整備されました。

しかし、配備されたICT機器を効果的に活用するには、各学校に合わせた支援が必要です。

児童生徒の習熟度に応じた学習を実現する「きめ細かい学習指導」や、クラス全体の学びを深める「協調的な学習支援」など、多様な学習ニーズに対応できるプラットフォームが求められています。

田中電気は、これらの課題解決に必要な機能を一つに集約し、教育現場の実践的な運用をサポートすることで、児童生徒が自らの力で「主体的で創造的な学び」を実現できる環境づくりを支援します。

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